我が家の近所にあるスーパー「いなげや」が、このたび改装オープンした。この店舗は、我が家がこの地に引っ越してきて以来20年、ご近所スーパーとして重宝している店舗である。この店が毎日営業していることに慣れてしまっていることは、わずかな間の改装期間の休業に不便を感じてつくづくと実感させられたものである。
そんな我が家御用達のいなげやが改装オープンしたのであるが、これがどうもあまり評判がよろしくない。家に帰ると、妻がさっそく新装開店初日の様子を報告してきた。どうやらご近所の奥様方と散々批評会をやったらしく、その興奮冷めやらぬといった感じであった。はたしてその評判はというと、残念ながらいいものではなかった。
「いなげやさん、何考えているのかしら?」と妻は不満タラタラである
妻を含め、ご近所の奥様方の評価は厳しいものであった。それというのも、改装内容が従来中心だった生鮮食品を減らし、コスメ系を増やしたものであったからである。特に致命的なのは、「魚がない」ということらしい。実際、店舗の中心にはコスメ系商品が燦然と配置されており、ここに力を入れているというのが素人目にもわかる。どうやら、グループ会社のウェルパークとの共同開発であるらしい。決算報告でも「実験店」として取り上げられているくらいだから、いなげやとしても力が入っているのだろう。
しかしながら、ご近所の奥様たちの批判は手厳しい。曰く、
1. コスメ系はすぐ近所にドラッグ店(一本堂)があり、駅前にはマツキヨもあるため重複感がある(なくても困らない)
2. いなげやを主に利用するのは、駅から遠いエリアの人。重いものを持つのが嫌な人が、駅前のライフで買わずにここで買って帰るのだが、生鮮食品が少なくなるとライフで済まさざるを得なくなる
と言うもので、なるほど主婦の意見はさすがに日々の買い物をベースにしているだけにリアリティがあると感心する。
今やあちこちに乱立しているドラッグ店を見ていると、やっぱりそれだけ儲かっているのだと思う。わざわざコストをかけて改装するくらいだから、儲かるという目論見があっての事なのだろう。ご近所の主婦の意見がどうあれ、減らした魚よりも新設したコスメ品で利益が増えたならその戦略は正解なわけである。傍でとやかく言う筋合いのものではない。
それにいなげやは東証一部上場企業。今回の改装にあたっては、当然ながら市場調査を尽くしているだろう。近隣の競合スーパー、ドラッグ店の立地・品揃え、地域の住民構成や消費動線など十分に調査・研究しての判断だろう。これまで魚を買いに来ていたお客さんがよそへ行くことも当然想定しているはずだし、それによって下がる売り上げをコスメ系でカバーしておつりがくるとの判断でやっているわけである。勝算は当然あるのだろう。
妻の不満は、不満に留まらず不安にまで及ぶ。「コスメ品が思ったより売れず、業績が悪化してその結果撤退となったら困る」というものである。何せ我が家からは徒歩1~2分のスーパーである。立地的便利さは他と比較にならない。そうなったら、ご近所の人たちもみなショックを受けるであろう。お使いに行かさせることが多い私にとっても、まんざら他人事ではない。
【本日の読書】
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