個人のメール宛にも職場のメール宛にも大量のスパムメールが送られてくる。もういい加減何とかしてほしいところである。個人宛の方は迷惑メールフィルターが機能していてかなりブロックしてくれている。ときどき迷惑メールでないものまでブロックされているので、削除する時には一通り送り主とタイトルとに眼を通さないといけないが、それでも1つ1つ削除する手間を省いてくれるのはありがたい。それに対して、職場のメールはフィルター機能が怪しく、基本的にすべて入ってくる。土日には暇を見てこまめに削除しているが、そうしないと月曜の朝は迷惑メールの削除で仕事に取り掛かるのが遅れる事になる。
職場に送られてくるメールは、アドレスも教えていないのに探り当てておくってくる純粋な迷惑メールと、名刺交換した相手からその会社のメーリングリストに登録されて送られてくるものとに分けられる。それぞれの会社から送られてくるメールは、親切にもメーリングリストの解除方法が記載されているものが多く、大半はひと手間かかるものの、それで解除できる。まだマシであると言える。ところがそのうちのとあるメールは解除ページに飛んでアドレスに入力しても「登録されていません」と表示されて解除できない。毎日「〇〇社△△(担当)」というタイトルで送られてきて嫌気がさしていた。
ところが先日、その「〇〇社△△(担当)」から直接電話が掛かってきた。職場へのセールス電話は多いが、まさか迷惑メールのご本人から掛かってくる事態は想定していなかった。ちなみにその迷惑メールの「〇〇社△△(担当)」さんには一度も会った事はなく、おそらくホームページか何かで代表のアドレスを把握して登録の上、送付してきているのだと思われる。興味津々取り次がれた電話に出ると、「〇〇社△△(担当)です」と堂々たる話しぶり。そこで、「あぁ、〇〇社の△△(担当)ですね、よく存じ上げています」と親し気に応じた。
私も少し意地が悪いところがあるかもしれない。初めて電話したはずなのに自分を知っているのかと訝しむ相手に「毎日スパムメールが送られてきて困っているのですっかりお名前を覚えてしまいました」と畳みかけた。さらに「解除はこちら」とあるのでわざわざ何度か試みたが、「登録されていない」と表示されて解除できなかったと続けた。一体、何の目的で頼んでもいないメールを毎日送りつけてくるのか?売名か営業か?売名なら大成功と言える。電話が掛かってきて即座にわかったのであるから。しかし、営業なら失敗である。
サービス提供のつもりで毎日様々な情報を送りつけてくるのも本当にサービスとして役だっているなら効果はあるだろう。しかし、望みもしない相手に解除もできない形で有無を言わさず送りつけてくるのは逆効果以外の何ものでもない。件の会社の担当者はそんな事にも思いが及ばないのだろうかと思う。おそらくそのあたりの想像力はないのだろう。さらに毎日うんざりしているのでタイトルだけ見て中身も見ずにゴミ箱に入れているが、おかげで社名と担当者名が脳裏に焼き付いてしまったと伝えた。さすがに相手も恐縮して要件も話さず(さすがにそこまで心臓に毛は生えていなかったようである)メール配信の停止を約束して電話を切った。
翌日、弊社の新事業会議で、新製品の販売戦略について話をした。弊社で初めての自社製品の販売である。何もかもが初めての試みであるが、宣伝をどうするかという話の中で、ターゲット企業のホームページにセールスメールを送るという意見が出てきた。毎日自社ホームページに大量に届くセールスメールをゴミ箱に入れている身としてはちょっと心が痛かった。逆の立場に立てば同じことをするのである。それでも中には目に止めて問い合わせをするケースもある。興味があるかないかはこちらにはわからない。やってみる価値はあると思う。ただ、毎日送りつけるのはやはり論外である。
女性を口説く場合は一度や二度(や三度や四度、)断られたくらいで諦めるのは問題外で、そこは諦めずに行くべきだと思う。その熱意が頑なに閉ざされていた彼女の心を開かせる効果がある事は私も経験済みである。営業においても熱心に通い詰めてお客さんを口説き落とした武勇伝はあちこちで耳にする。それもまた真実である。しかし、メールにはそんな熱意はない。女性を口説くのにも営業マンが通うのにも熱意がある。その熱意が相手に伝われば相手を口説ける。しかし、安易に簡単に送るメールに熱意は必要ない。本物のスパムメールは同じタイトルで五月雨のように送り込んでくる。そこに熱意は欠片もない。0×∞=0なのである。
営業に熱意は必要であるが、それはきちんと汗をかくものである必要がある。それが相手に伝わってこそ成果に結びつく。汗は脳みそにかくものであっても良いと思うが、正しく汗をかいてこそである。いろいろな事が簡単にできるようになった世の中であるが、正しく汗をかく努力はしなければならないだろうと思うのである・・・
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Gerd AltmannによるPixabayからの画像 |


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