最近、「リスク管理」という点で、意識の違いを認識させられる事が会社であった。とあるプロジェクトなのであるが、様々な事情で「火を吹いている」状態であり、社員も疲弊している。プレッシャーで精神的に参ってしまい、リーダー的な立場の者が休職に追い込まれている。少しずつ改善は試みているものの、メンバーの疲弊度も大きい。納期もある中での事であり、何とかもう少し状況を改善できないものかと協力会社とも相談をしている。その中で、1人の若手社員に黄色信号が点っている。
私からはその者の負担を軽減して残業を制限するようにと申し入れた。しかし、現場の責任者でもある役員の反応は鈍い。1人の負担軽減は他の者の負担増につながる。ではどうするか。私はやはりその若手社員の負担を軽減して残業を制限するよう申し入れた。考えるべきパターンはいくつかあるが、私は「その若手社員が明日にでも精神科へ駆け込んで適応障害の診断書をもらってきたら」というパターンを想定したのである。それが考慮すべき最大のリスクだと判断したのである。
もちろん、その若手社員の負担軽減によって他の者の負担増となり、今度はそちらの社員が倒れるという可能性もなくはない。ただ、耐久性からするとそのリスクはより低いと判断したのである。それを指摘すると、さすがの現場責任者も同じ考えに至り同意してくれた。交代要員もいない中で、その若手社員が倒れるリスクが何より大きい事に気づいてくれたというわけである。現場の人間でもない私が気づくリスクにどうして気がつかないのかと思うも、「灯台下暗し」的なところもあったのかもしれない。
ただ、そこは日頃からの考え方にもよる。「Aであったら」というベストシナリオだけを思い描くのではなく、「Aでなかったら」というリスクシナリオを想定するのがリスク管理である。「その場合、Bという手を打つ」、「それがうまくいかなければCという方法を取る」といくつかのパターンを想定しておかないといけない。我が社の場合、「Aでなかった」場合、そこで初めて「どうしよう」となる事がしばしあるのである。「問題が起こってから対処する」というのがもっとも後手に回るものである。
弟が詐欺被害に遭ったのもリスク管理という考え方ができなかった事から被害を拡大させている。「投資したフィリピンのリゾート地が売れたら返す」と約束して友人たちにお金を借りた事が被害を拡大させてしまったのである。「売れたら」という楽観パターンのみを考え、「売れなかったら」と考えなかったのである。私も過去に株式投資で失敗した事がある。かなり借金を背負って苦しんだが、私の場合は「うまくいかなかったら」という想定をしていたため、損失はギリギリ(自力でカバーできる範囲)のところで抑えられた。
当たり前のようであるが、金を借りる人はうまく行く前提でしか考えない。うまくいかない場合は、考えられないのか考えたくないのかわからないが、どちらにせよ考えない。しかし、そここそがもっとも大事なところなのである。リスクが高まった状態であれば、常にいろいろなパターンを想定する事が大事である。丁寧に考えていけばそれほど難しいことではないし、誰もが困難に直面した時こそいろいろなリスクパターンを考えないといけない。
「楽観パターンがうまくいかなかったら」。それを前提に対策を練っておけば、いざうまくいかなかった時は「想定通り」なわけで、あらかじめ準備していた手を打てば良い。私も公私に関わらず、これからも気を抜かずにリスクには敏感にアンテナを張れるようにしたいと思うのである・・・
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Mote Oo EducationによるPixabayからの画像 |


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