世の中はスマホの爆発的普及によってすでにネット社会に突入している。その中で「紙の文化」はだいぶ形勢が悪くなっている。先日観たドラマでは、ある就活生が新聞を読まないことを咎められ、「ネットで見ている」と抗弁していたが、それが若い人の感覚なのかもしれないと思う。事実、採用面接の現場で応募者に対し、「最近印象に残ったニュースは」という質問をし、そのソースを尋ねたところ、「Twitter」「Yahoo!ニュース」という回答ばかりであった。
私は、と言えば、毎朝会社に出社してまず紙の日経新聞を読むことから1日をスタートさせている(もちろん、その分早く出社している)。それは私が「昭和世代」だからとも言えるが、実は日経新聞電子版も併用したことがあるが、見やすさという点では紙の方がはるかに優っているからである。電子版でも同じ記事は読めるが、「見え方」が違う。電子版はクリックして進まなければならないが、紙は広げればいくつかの記事がまとめて目に飛び込んでくる。併用していた時期には、紙の記事で読んだ記事を電子版では見落としたことがしばしばあって、併用はやめたのである。
ちなみに、通勤電車で読んでいる本も紙が中心である。Kindleも導入していて、電子書籍を購入して切り替えようかと思った時もあったが、本のブログに感想を載せる際、後から読み返す時に紙の方が圧倒的に振り返りはしやすいのである。電子書籍にも付箋機能などはあるが、付箋をつけなかったところを探す際にはどうしても手間がかかる。そうした手間を必要としない漫画に関しては、今はほとんどすべて電子書籍にしているから、単に紙フリークというわけではない。あくまでも「比較の結果」である。
「紙がいいかネットがいいか」という比較論はナンセンスで、「どちらがいいかはケースバイケース」であると個人的には考えている。ただし、ニュースの場合、TwitterやYahoo!ニュースが扱うのは主として社会面的なニュースであり、社会人が教養として読むべき日経新聞的なニュースという意味では内容的に劣るのは確かである。私ももともとマスコミなど頭から信用していないが、日経新聞的なニュースに関しては目を通すようにはしている。
学生ならともかく、就活生となれば、そして社会人となれば、目を通すべきニュースも選ばないといけない。それを紙にすべきだとまでは言わないが、三面記事ばかりでない世の中のニュースに触れるのも社会人としての大事な嗜みであると思う。ちなみにこの「最近気になったニュースは?」という質問は個人的に気に入っていて、面接の機会があれば聞くようにしている。これによって個人の興味・関心・考え方などが窺い知れるのである。もちろん、ニュースを見ていないということも含めてである。
思い起こせば、私も社会人になった際、日経新聞を読めと言われて購読を始めたが、初めて自分の給料で購読したのが日経新聞である。それまで実家で購読していた読売新聞とは構成から違って初めは違和感を感じたものであるが、その後すっかり慣れたものである。特に『私の履歴書』はお気に入りで、欠かさず読んでいる。基本的にマスコミを信用していないとは言いながら、新聞は読むべきだと言うのは大いなる矛盾である。しかし、ニュースはマスコミ頼りになるのは仕方がない。あとはそれを無思考で受け入れないようにするしかないと考えている。
そうして新聞を読むことによって何が違うのかと言えば、それは世の中の動きを知ると言うことに他ならない。世の中で何が話題になり、問題になっているのか。それを知らずして社会の中で働いていくというのもおかしい。教養と同じで、なくても働けるかもしれないが、底が浅いと思われてしまうのは確かであろう。読んでいればいいというものではないが、読んでいないとビジネス・パーソンとして一段低く見られてしまうと思う。少なくとも信頼は得られないように思う。
今後、電子版がどのくらい発達するのかはわからない。当然、紙を凌駕していくのだろうが、今のところ新聞を見開いた時に一気にタイトルを一覧できるという利便性では紙に一日の長があるように思う。ただ単に慣れているから見やすいだけなのかもしれないが、今のところはまだまだ紙の新聞を重宝していきたいと思う。いずれ紙のように見やすい電子版ニュースが出てくるのかもしれないが、ニュースを読むという本質は我が社の新入社員にはきちんと伝えたいと思うのである・・・
Hands off my tags! Michael GaidaによるPixabayからの画像 |
【今週の読書】
0 件のコメント:
コメントを投稿