先日の事、取引先との面談を終え汗を拭き拭きの帰り道、突然若いサラリーマン風の男性に声をかけられた。
「研修の一環なんです、名刺交換をお願いします」と彼は自分の名刺を差し出してくる。
「ああ、またか」と思う。
丸の内界隈では結構頻繁にこれをやっている。
私も何回か声をかけられた事があるし、声をかけているところを見たことも一度や二度ではない。
いつものように、「仕事以外では名刺交換しない事にしてるので」と断る。
これまでは「失礼しました」と簡単に引き下がってくれたが、今回の彼には粘られた。
一緒に歩きながら、「お願いします」と。
交換だけならいいが、あとでセールスの電話がかかって来ても面倒だ。
すると、「あとでセールスのお電話をするというわけではございませんので・・・」と彼が言う。
自分で言ってるじゃないかと、内心ちょっと微笑ましく思う。
30メートルくらいついてきたが、こちらも初志貫徹。
彼も諦め、次のターゲットを探しに行った。
暑いのに大変だろうが、残念ながらあのやり方ではあまり名刺は集められないだろうな、と思う。
自分はいつも応じないし、他所の人も見る限りでは相手にしていないようである。
まあ無理もない。
自分だったらどうするかな、とこういう時はいつも考える。
まず道端で知らない人に話しかけるなんてしない。
性格的にもできないし、そんな非効率的な事はやってられないクチなのだ。
どうやったら効率的に名刺を集められるだろうと考える。
手っ取り早いのは東京ビッグサイトあたりへ出掛けていく事だろう。
ここではいろいろ企業の展示会をやっている事が多い。
ブースを一つ一つ回ってちょっと話を聞いて、こちらの名刺を差し出せばまず応じてくれる。
あらかじめ少し専門知識を仕入れていって、うまく相手に合わせられれば完璧だ。
100社くらい出展している事もあるから、一つのブースで頑張って2~3枚集めれば、一日でかなりの数になるだろう。
努力は大切だが、その方向性を間違えると「無駄な努力」となってしまう。
私も今だからこそ、そんな風に考えられるが、これも過去の経験の賜物。
初めからそんな風に考えられたわけではない。
いろいろな失敗、試行錯誤、無駄な努力の蓄積の結果だ。
若い頃にそうした事を手取り足取り教えてくれる人がいたら、もっと違っていた事だろう。
浪人せずにストレートで大学に入れたかもしれない。
大学のラグビー部では、1年からレギュラーになれたかもしれない。
会社ではもっと出世していたかもしれない。
家に帰った時に出迎えてくれる奥さんだって別の人だったかもしれない・・・
変えられない過去を嘆いても仕方がない。
自分の経験値をどう活かすか、だ。
一番良いのは子供にアドバイスしてあげる事だが、どうだろう。
聞く耳はもってくれるだろうか。
できれば指南役となって、いろいろとアドバイスしてあげたいところだ。
いつか子供たちの恋の悩みに応えてあげられたら、自分の失恋経験も無駄ではなかったと言えるのだが、どうであろうか。
疎ましがられず、聞いてもらえるような工夫を今度は考えたいと思うところである・・・
【本日の読書】
「雨が降ってもよろこぼう」嶋津良智
「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」岩崎夏海
「日暮らし(中)」宮部みゆき
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