11月11日はアメリカではVeteran's Dayと呼ばれる祝日である。これは退役軍人の日という事で、文字通り復員軍人を称える日である。ずっと戦争をやっている国だけあって、退役軍人を正当に評価することによって士気を高めるという狙いもあるのだろう。これはニュースで知ったのであるが、これを聞いて先週観た映画「告発のとき」のワンシーンを思い出した。
映画はボスのCMで今や日本でもすっかり有名人となったトミー・リー・ジョーンズが主演である。彼が演じる退役軍人は、イラクから帰還後行方不明となった息子を探しに行くが、泊まったモーテルの一室での事。四隅まで丁寧に折りたたんでベッドメーキングし、靴をピカピカに磨き、ズボンの折り目もきっちりと伸ばす。かつて現役時代の習慣が残っている事をうかがわせるシーンだ。
個人的に軍隊生活の経験はないが、あちこちの映画で軍隊での生活態度に対するこうした厳しさを目にする。新兵などは靴がちょっと汚れていたというだけで、重装備で走らされたりする。そんなシーンを目にしているので、軍隊というところはそういうところだと何となく知っているのである。
そうした規律がなぜ必要なのかと言えば、やはりちょっと間違えば命を落とす世界だからであろう。命令は忠実に果たさねばならないし、武器も普段から嫌というほど整備しておかなければならない。いい加減に扱えば命取りだ。厳しすぎるくらいきっちりしていなければならないというのも頷ける。
ただ、先の映画でも「部隊内で盗難が多い」というセリフもあった。そういえば、昔習志野自衛隊とラグビーの試合をした時も、着替えとして提供されたロッカールームで、「盗まれるからモノを残すな」と案内してくれた隊員さんに注意された。洋の東西を問わず、そうしたところは厳しい規律とは裏腹らしい。
軍隊でなくても大学の体育会などでは、厳しいところがやっぱりあるようである。私の場合は幸いな事に比較的規律の緩いチームだったから、気楽で良かった。だが、時間のけじめとかいくつかのところでは「グラウンド10周!」となる規律があった(練習後、体力消耗したあとでの10周はけっこうキツイのだ)。それはやっぱり必要な緊張感を生み出すのに役立っていたと思う。
家庭内でのそれは躾だろう。我が家ではそんなに大した事をしているわけではない。靴を揃えさせたり、食事の時のちょっとしたマナーだったり。他にもすべき事があるのかもしれないが、たぶん最低限このくらいというレベルでずっと続けている。それがこの先どう活きてくるのかはわからないが、たぶん何かの役に立ちそうな気がする。自由はすばらしいが、他人と暮らしていかねばならないのがこの世の中。規律ある集団の中で生活した経験は、何らかの形で生きていくのではないかと漠然と思うのである・・・
【昨日の読書】
「金融大狂乱 リーマン・ブラザーズはなぜ暴走したのか」ローレンス・マクドナルド他
「反転 闇社会の守護神と呼ばれて」田中森一
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