銀行員という仕事柄、いろいろな取引先を訪問する機会が多い。
今回、さるお取引先の資材管理場を訪問させていただいた。
所長に話を伺いながら、場内を見て歩いた。
その時にちらほらと黒人の姿が目に入った。
また小耳に挟んだ会話は、たどたどしい日本語。
顔は東洋人であったから、たぶん中国人だと考えた。
(韓国人はこういう田舎の中小企業で働かないだろうと想像したのだ)
あとで事務所に帰ってふと見ると、タイムカードに数名の横文字の名前。
そして中国研修生というタイトルで数名の名前があった。
研修生といってもどういう研修生なのか、合法なのかそうでないのかは定かではない。
この時期人件費を抑えるために中小企業も大変なのだ。
敢えて尋ねなかったのに、自然と話題が黒人の話になった。
所長曰く、「数が数えられないんですよ」と。
なんと「手の指以上は数えられない」のだという。
と言っても障害者なのではない。
そういう教育を受けていないらしい。
俄かには信じられない話だ。
日本人であれば、どんなに学校の成績が悪くても数ぐらいは数えられる。
どこの国かは聞かなかったが、まだまだそういう国があるようだ。
江戸時代には、識字率の高さで当時の世界のトップクラスであったという我が国。
そういう伝統なのか、今では数が数えられない人など健常者であればまずいない。
ゆとり教育の弊害で、世界レベルでは学力低下が著しい我が国の行く末を嘆いていたら、こんなレベルの国もあるのである。
下を見て安心してはいけないが、数を数えるなんて学校で学ぶ以前の問題だ。
「仕方がないので数える以外の仕事をやらせているんですよ」とは所長の弁。
ふと自分だったら時間外に基礎的な事を教えてあげるのにな、と思った。
思うだけなら誠に簡単である。
ただ、そういう機会があったらそんな貢献もしてみたいと思った次第である。
いつかはわからないけど、そんな気持ちは持ち続けていたいなどと考えてみた取引先訪問であった・・・
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