2025年1月19日日曜日

サプライズ!

先日の事、我が社で若手社員が「やらかして」しまった。本人は一応反省しているとの弁だったが、罰を与える事にした。毎朝、我々総務でやっている簡単な設備のメンテナンスを申し付けたのである。「始業15分前に来てやれ」と。本人はしおらしく了承して翌日から作業をする事になった。翌朝、彼は私が申し付けた時間の30分前(つまり始業時間の45分前)に「おはようございます!」と言う挨拶と共に出社してきて作業に取り掛かった。15分程度で終わる作業をそのまま彼は教えた通りにしっかりやり終えた。

私は「いいな」と思った。言われた通りに始業の15分前に来てやっても別に文句はなかった。ただ、それだと「驚き」はない。ただ「言われた事」を「言われた通り」にやっただけである。しかし、言われた時間より30分も早く来てやるというのは、相手の予想を超えているわけで、それは相手に「驚き」をもたらす。この「驚き」は大事だと思う。相手の期待値を超える事によって相手に「驚き」をもたらす。それはその人自身の評価を高めるのに役に立つと思う。

私も本多静六の「天才が1時間かかってやるところを2時間やって追いつき、3時間やって追い越す」という言葉が好きであるが、「1時間やれ」と言われたら2時間やるタイプである。スポーツでも勉強でも、もちろん仕事でも同じである。言われた事をやるだけであれば、それは普通である。相手の記憶に残る事もない。言われた事以上にやって初めて相手に「驚き」をもたらし、評価もされるし記憶にも残る。「評価されるために」という目的が先に来ると嫌らしいが、そういう行動が未来の自分を変えていくと思う。

木下藤吉郎が織田信長の草履を温めたのは有名な逸話であるが、「下足番を命じられたら日本一の下足番になってみろ。そしたら誰も君を下足番にしておかぬ」(小林一三:阪急・東宝グループ創業者)なのである。常に相手の期待値を上回る事を意識していたら、ずいぶんと仕事ができるサラリーマンになれると思うが、最近そういう話を若い人に意識的にしている。それは自分もいろいろと経験を積んできたし、それを自分だけで終わらせるのではなく、若い人にも知ってもらえたら会社の業績向上にも繋がると思うからである。

我が社には、見事に言われた事しかやらないロートル社員がいる。言えばそれなりにきちんとやってくれるので重宝しているのだが、そのかわり言わないとやってくれない。最近はビルの管理会社から防火上の指摘をされ、すぐにその対応をした。しかし、それはそれでいいのだが、「今後それを誰が管理していくか」という事までは考えない。それを考えると、別の対応もありうるのだが、そこまで考えない。「その場でやっておしまい」なのである(それも別の意味で驚きではあるのであるが・・・)。

これ「金曜日までにやっておいて」と言われたなら、私であれば遅くとも木曜日までにはやり終える。他に優先する仕事がないのであれば、とりあえず最優先でやって終わらせれば、「期限」という意味で相手の期待値は超えられる(もちろん、ただ早ければいいということではない)。やれと言われそうだとわかっていたなら、言われる前にやっておく。「やれと言われていない事をやるのは損」などと考えていたら、それは自分自身を「期待以下」の存在にしてしまう事になる。

仕事はやっぱり楽しくやりたいし、楽しくやるためには自分で仕事をコントロールできないといけないし、さらに言えば相手を驚かせたい。「サプライズ!」は仕事であっても相手を驚かせる楽しさがある。相手を驚かせて自分も認められればこんなに面白い事はない。私もまだまだ相手を驚かせていきたいと思うし、それを若手にも伝えていきたい。そういう存在になりたいと思うのである・・・


raffaella cerutiによるPixabayからの画像

【本日の読書】
わが投資術 市場は誰に微笑むか - 清原達郎  春の雪 (新潮文庫) - 三島 由紀夫





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