【原文】
子以四教文行忠信
【読み下し】
子は四つの教を以ふ、文、行、忠、信。
【訳】
先生は四つのことを教えられた。読書と実践と誠実と信義である。
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古の真理は今なお真理であり続けたりするものである。『論語』が古典として読み続けられているのもそのためであると言える。ここで採り上げられている「読書」も「実践」も「誠実」も「信義」も、いずれも師が教えるのももっともだと思われる事である。最初の読書については、自分自身その効能を実感している。もともと読書は嫌いではなかったが、学生時代に読んでいたのは小説ばかり。それが社会人になっていわゆるビジネス書、自己啓発書を読むようになった。
最初にインパクトがあったのが、落合信彦の『狼たちへの伝言』である。これは個人的に心を刺激される一冊であった。男としてどう生きるのかというのを強く意識させられた。そしてもっと勉強しよう、さまざまな知識を身につけようという気になった。その後、続編を始めとして一連の著書を読んで大いに刺激を受けたのを覚えている。これを機にいろいろとビジネス書を読むようになった。今は通勤時間が読書タイムになっていて、朝はビジネス書、帰りは小説という感じで読み分けている。
読書の何がいいのかというと、実はあまりよくわからない。ただ、今、自分が中小企業と言えども役員になり、会社の動きにも大きな影響を与えられている要因を考えてみると、やはり長年いろいろな本を読んできて身についた知識や考え方なのではないかと思い至るのである。どの本というわけではなく、読み続けた本の蓄積という事である。著名な経営者や実力者たちの考えや体験談を読み、そこから自分なりの意識・考え方・知識を知らず知らずのうちに身につけてきたという事である。
「実践」は行動、「誠実」と「信義」とは心の持ち方に関わるものである。いずれも重要だというのに異論はないと思うが、なぜなのかと問われるとどうだろうか。その答えもまた読書にある。「百聞不如一見、百見不如一考、百考不如一行」(漢書)を始めとして実践の重要性は様々な本で語られている。さらには、「頑張れば何とか手の届くところに目標を設定すれば、ずっと諦めないでいられる」(イチロー)などのように具体的な方法まで伝授してもらえる。
様々な経営者の自伝などはその実践のいい例であり、その経験から得られた教訓が「誠実」だったり「信義」だったりすると、その経験を自分でしていなくても、あたかも自分が経験したことのように大事だと理解できる。他人の経験を自分の経験とすることができるのも、また読書の効能と言える。「誠の思いが相手に通じなくて悲しい時は、さらに深い誠を尽くせばよい」(孫正義)という考えを読めば、「誠実」というあり方も参考になる。
ただ「大事だ」と言われるよりも、「それはなぜなのか」を説明されるとよけいに重みをもって心に響いてくる。そこに実際の体験談が加われば、さらに説得力が加わる。そしてそれがいつの間にか「自分の考え」になっていく。このプロセスの積み重ねが今の自分の考え方のベースになっていると思う。それにそもそも落合信彦の『狼たちへの伝言』が心に響いたのも、子供の頃から読んでいた漫画の影響も大きいと思う。カッコいい男はどんな行動を取るのか。それが漫画で培われたのは間違いない。
同じものを読んでも同じように感じるとは限らない。影響を受けるか受けないかも人次第。されど読書は間違いなく習慣化する価値は大いにある。孔子の時代からすると、今ははるかに多くの書物がある。そういう恵まれた時代に生きていることを生かさないのは実にもったいないことであると思うのである・・・
OpenClipart-VectorsによるPixabayからの画像 |
【本日の読書】
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