参議院選挙が告示され、選挙戦がスタートした。今回は個人的にはあまり興味がわかない(と言っても投票に行くのは当然である)。争点となっていることにあまり興味を持てないというのが正直なところである。唯一、年金問題については、我が事として関心を持っている。と言っても例の「2,000万円けしからん」という話ではなく、「自分は大丈夫か」という観点である。
金融庁の金融審議会が「高齢社会における資産形成・管理」という報告書を公表した問題。そこでは高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)について、公的年金の受給があっても定年後に夫婦で95歳まで生きる場合には約2,000万円の貯蓄が必要となると指摘したのは、国民に意識を持たせるいいヒントになったと思う。野党がなんで噛み付いているのかは理解不能であるが、自分はどうなのだろうとまず思う。
試算では、月額19万円の公的年金を受け取る前提としているようであるが、住宅ローンの返済が終わった家があって、病気等が何もなければまず生活していけるレベルではないだろうかと思う。試算では毎月50,000円の赤字が出る想定であるが、どういう計算根拠なのかちょっと興味深い。自分の場合は、サラリーマンなので厚生年金がもう少し出る計算である。とは言え、この先ずっと夫婦生活を続けるとは限らないし、独り身になった時のことを考えると安心はできない。今後のことだから真剣に考えようと思っても、実は不確定要素が多過ぎてなかなか考えられないというのが正直なところである。
今後の収支については、給料を中心とした日常の収支はともかくとして、それ以外での大きなお金の問題がまず不確定要素としてある。親がいくら残してくれるのか(これはプラスマイナス0ならありがたいが、介護費用等のマイナス資産となるのが心配なところ)があるし、夫婦生活を解消した場合の自分が住む家の確保(買うならその資金、借りるなら家賃)の問題がある。日々の生活費だとか旅行くらいにはいけるのかという細かい問題はともかく、大きなお金の不確定要素が将来予測のネックになる。
大きなお金の不安を除いたところでは、やはり「いつまで稼げるのか」「いつまで生きるのか」という不確定要素が大きい。実際、「いくら必要か」は、「いつまで生きるのか」「それまで健康で生きるのか」によって大きく変わってくる。それは個々人によって異なるので、一律に試算していくらとできるものではない。ならどうするか。答えは1つ。「できるだけ収入を増やす」しかない。
「収入を増やす」には、「稼ぐ」と「増やす」がある。「稼ぐ」については、幸い自分の場合、仕事では定年退職がないので、健康さえ維持できればとりあえず働き続けられる。肉体労働ではないし、(土日のテレワークはあるが)定時勤務が普通なので体が動くうちは働ける。これでいけるところまで行く。「増やす」は、投資に少し力を入れて資産形成をすることである(裏目に出るリスクもあるが、そこは元銀行員の状況判断だ)。そして働けなくなる日までにその両輪で蓄えておくのである。
思えば、大学を出て就職した時、定年の60歳まで36年も「働かないといけない」のかと気が遠くなる感じがした。それでも一浪だったからストレートの学生より1年短く済んだなどとお気楽に考えていたものである。今思えば共産党的な思考である。おそらく、当時今の「2,000万円問題」が発生していたら、「国民に2,000万円貯めろという政府の言いぐさは無責任だ」「年金の破綻をまず謝れ」という野党のピントの外れた言いがかりに大いに賛同していたに違いない。
以前はいち早くリタイアして悠々自適の生活をと考えていたが(それは現実的な自分の稼ぐ力からして無理であることは別として)、今ではより長く働きたいとの考えに変わっている。それはやっぱり会社に行って仲間と交流するのはいい刺激になるし、あれこれと会社の業績向上を考えて動くのは楽しいし、家にいて暇を持て余すよりもはるかにいい。当然、いろいろとトラブルや困難はありうるだろうが、それすらも克服した時の快感を思えば何という事もない。労働があるからこそ週末が楽しいし、楽しい週末があるからこそ日曜日の夜も翌日のことを考えて楽しく寝られる。
結局のところ公的年金制度がどの程度機能しているのかはわからないが、考えるべきはまず自助努力であろう。外資系企業に勤める友人は「自分には年金(厚生年金も企業年金も)がない」と語っていた。たぶんその分もらっているのだろうが、そういう人もいるわけであり、「年金頼み」というのも情けない気がする。外資系の知人のようにもらっていなくとも、気概だけは持っていたいものである。老後のことは確かに心配ではあるものの、それは自助努力で何とかしたい。自分で稼ぎ、貯蓄をするなりして備えたいと思う。イタズラに年金制度に頼ったり、ましてや2,000万円不足だからといって文句を言うのはお門違いだろう。
【今週の読書】
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