2016年4月10日日曜日

老害

セブンHD鈴木会長が退任、24年ぶり体制刷新
 セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長兼CEO(最高経営責任者)(83)は7日、東京都内で記者会見を開き、退任する意向を表明した。
 鈴木氏が主導したセブンイレブン・ジャパンの井阪隆一社長(58)を退任させる人事案が同日、セブン&アイの取締役会で否決され、退任を決断したという。巨大流通グループは1992年に鈴木氏が創業者から経営トップを引き継いで以来、24年ぶりに経営体制を刷新する。
20160408 0113 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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今週流れたセブンイレブンのニュースを見て、「老害」という言葉が脳裏に浮かんだ。日頃感じるところがあるからである。セブンイレブンの鈴木会長がどうなのかはわからない。マスコミなんていい加減だし、外部には知られざる内幕もあるだろう。鈴木会長が老害かどうかを論じるつもりはなく、ただ考えるきっかけとなったに過ぎない。

そもそも老害とは何であろうか。組織においてのそれは、トップに君臨して古いやり方に固執し、組織が新しい環境に対応できない状況に陥っているイメージであろうか。セブンイレブンの場合、なぜ業績好調の社長を交代(しかも現社長より年上の副社長に)させようとしたのかはわからないが、外から見ているだけだと不可思議である。何かご機嫌を損ねたのだろうかと邪推するしかない。

そもそも人間は年を取っても、肉体は衰えても頭はそれほどではない。私もいまだに頭の中ではグラウンドを縦横無尽に走れ回れるが、肉体の方は5分と持たないだろう。頭の中では昔から自分の信念や考え方といったところでは大きく変わっていない(もちろん学んで得たものは相当加わっている)。年を取って反射神経は衰えても「判断力」はそう衰えないと思う。だから老害とは「判断力」の衰えではないだろう。

個人的に年を取った方と接していて一番困るのは、「自分の意見を言いにくい」といったところだ。特に私の場合、自分の意見はきっちり主張する。それが時として敬遠されている自覚はあるが、さりとて正しいと思う意見を言えない環境がいいのかと考えればそんなことはない。やはり煙たがられても自分の意見は言いたい。だが、年配の相手だとどうも言いにくいものがある。なぜだろうと考えてみると、「言っても通じないだろう」という諦め感につながる。

大概年配の人は頭が硬い。常に自分の考え方が正しく、異論を受け入れようとはしない。これは誰にでも当てはまることであるが、特に高齢者にはこの傾向が強い。多分、脳みその柔軟性も衰えるのかもしれないと思うが、自分とは異なる相手の意見を聞き、それを第三者的な立場で考えてみるということがしにくくなるのかもしれない。そして特に考えるのを億劫に思うところがそれに加わるのかもしれない。

脇道にそれるが、この考えるのを億劫に思う気持ちは危険だと思う。
私と議論していても、途中で議論を嫌がる人がいる。こう言う人は年を取ったら間違いなく「頭の固い老人」になるだろう。若い頃から考えることが嫌いな人が、年を取って物を考えるようになるわけがない。当然、相手の意見を聞いても、それが自分と違う意見だった場合、その是非を考えるよりも手っ取り早く否定して終わりにしてしまうだろう。「老害予備軍」と言って差し支えないと思う。

そういう自分はどうだろうか。自分も「老害」老人になるだろうかと考えてみる。
きっぱり否定したいところだが、それは自分をどう捉えるかという相手の問題もあるのでなんとも言えない。ただ、現在80歳を超えても尚元気でいろいろと議論ができる人を参考にするならば、相手の意見をきちんと受け止め、それに対して感情ではなく理論できちんと説明出来ることが必要なのではないかと思える。そうなれば、相手も議論を継続すべく考え続けることができるし、健全な意思疎通と議論ができるだろう。

若い人と健全な議論ができるということは、「老害」と呼ばれないことの大事な要素である気がする。誰が聞いても「そうだよなぁ」という意見を言う老人を「老害」とは呼び難い。
鈴木会長も世間に対するイメージとしては、業績好調な実績を上げている社長を交代させるに、「そうだよなぁ」と思える理由を説明できればよかったのにと思える。それにしてもやはり80歳を超えてなお頂点に君臨するのは、「後継を育てる」という意味では明らかにマイナスだし、自ら身を引いたところはまだ潔いのかもしれない。

ドン・キホーテの社長は、昨年経営の一線から身を引き、その理由を「老害の芽を摘むため」ときっぱり語っている。(安売り王一代 私の「ドン・キホーテ」人生】このあたりは実に立派である。
「組織を支配する老人がいなくなり、自分の天下がやってきたはいいが、いつの間にか自分が老害の座を継承している」
願わくば、こんな状態にはなりたくないものである。

「老害」は決して他人事ではないだろう。
迷惑を被ったなら、自らが予備軍とならないようにしないといけない。
今から意識していきたいと思うところである・・・

『ハンガーゲーム』



【今週の読書】 
 
   

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