さて、そんなW杯であるが、今回改めてTMOが目につく。TMOとはテレビマッチオフィシャルのことで、要は「ビデオ判定」だ。ラグビーは特に組んず解れつのスポーツなので、いかにベテランのレフリーでもなかなか正確な判定はむずかしい。アシスタントレフリーのサポートはあるが、それも限界がある。TMOはそんな時、威力を発揮する。
そういえば、先日バレーボールのW杯を観ていたら、やっぱりビデオ判定が導入されていた。ただし、バレーボールの場合は基本的に「異議申し立て」に近く、チームから要請して行われるもののようだ。ラグビーの場合は、レフリーが自主的に行うので、回数制限もないし、より公平感がある気がする。
ラグビーは紳士のスポーツだから、基本的にレフリーにいちゃもんをつけるわけにはいかない。だが、悔しい時は、後でこっそり「あれはトライだった」と呟くものである。そういうセリフを聞いたこともあるし、自分にも経験がある。大学3年の時の成城大学戦がそれである。
大型フォワードを揃える成城大学との公式戦。戦前の下馬評に反し、試合中組んだスクラムからも当たりあった感触からも、大きさの割に相手の手応えは弱く、「これはイケる」と闘志をかき立てられた。そして1点差を追った後半の残り時間も少なくなった時間帯、味方が抜け出しパスが通った瞬間、逆転トライを確信したが、なんとレフリーがスローフォワードの判定。「まさか」と愕然と崩れ折れた。
その時、レフリーは後ろから走って見ての判定だった。相手の監督も試合後、「やられたと天を仰いだ」と語っていた。試合はそのまま1点差で敗れた。勝てた試合だったし、あれほどの悔しさはない。あの時TMOがあったらと思わずにいられない。多分一生「あれはトライだった」と言い続けるだろう。
まぁ対抗戦の下位チームの試合にTMOなど過剰であるとは思うが、W杯ともなれば国と国の威信もあるし、ファンの強い関心もある。より正確な判定は必須だ。それでも先週のオーストラリアvsスコットランド戦では、最後の逆転PGに繋がった判定が誤審だったと発表された。スコットランドの選手からすれば、やり切れないかもしれない。
もっとも、「それも含めてラグビーなのかもしれない」と、あれから30年近く経ってみて思うことでもある。負けたこと、それもあと一歩のところまで追い詰めていて負けたことで、試合終了後思わず涙がこぼれた。学生時代、唯一負けて泣いた試合だった。
大きな試合はともかく、TMOの不要なレベルの試合では、「それも含めてラグビー」でいいのかもしれないと今では思うところである・・・
誤審だったと認められたオーストラリアvsスコッランド戦 |
0 件のコメント:
コメントを投稿