2014年3月21日金曜日

クリミア紛争を考える

 ここ1週間ほどクリミア紛争のニュースが気になっている。
親露派の大統領が地位を追われたと思ったら、一気にクリミア共和国の独立、ロシア編入へと動いている。大きな注目を集めているのは、そこがロシアの黒海艦隊の基点である事が原因であると思う。

 昔から不凍港を求めていたロシアにとって、クリミアのセバストポリは重要な軍港。ソ連時代は揺るぎもしなかったが、ロシアとウクライナに分離してからは、租借という地位になってしまう。一応2042年まで借りる契約はできているが、今回の政変でそれが危うくなった。アメリカもそれをわかっているから、「チャンス」とばかりに動いている。

 詳しい裏事情などわかるはずもないが、ニュースだけ見ていても、その内容には疑問だ。日本のメディアは、ロシア批判が大勢だ。だが、本当にロシアが悪いのかと思うと、そうとも思えない。その一番の原因は、クリミアの住民投票だ。83.1%の投票率で、96.77%という圧倒的多数で住民が「ロシア編入を望んでいる」のである。

 オバマ大統領は「銃で脅された」結果だとしているが、今の時代銃で脅されたからと言って、こんな圧倒的な結果が出るだろうか。それにNHKのニュース映像を見たら、住民は大喜びでコンサートまで開催されていた。ニュースによるとロシア系住民は6割だそうだから、ロシア系以外も賛成している事になる。ここはロシア編入を認めるのが筋というものだろう。

 ロシアは、「国際法違反」と批判されている。だが、アメリカだって「国際法違反」という批判を無視して、イラクに軍事侵攻して政権を打倒した“前科”がある。フセイン政権が「大量破壊兵器を隠している」という理由だったが、それは嘘だったと証明されているし、そのあたりの陰謀は映画にもなっている。
(⇒【フェア・ゲーム】

 アメリカは、冷戦時代、西ヨーロッパにソ連に向けた核ミサイルを配備しながら、逆にソ連がキューバに核ミサイルを配備しようとしたら、実力でそれを阻止した(キューバ危機)。公海を海軍艦艇で封鎖し、ミサイルを運搬するソ連の船を阻んだのであるが、そんな事ができる権利はアメリカには当然なかった。

 「自分がやる事は正当化し、同じ事を相手がやれば批判する」
アメリカもロシアもお互い様なのである。そんなキツネとタヌキの化かし合いのような国際情勢で、アメリカの肩を持ってロシア批判などして、日本のメディアはバカバカしくならないのだろうか。

 もしも立場が逆なら、アメリカは民主主義の旗をここぞとばかりに振り回して、「地元の民意」を尊重するだろうし、ロシアは口角唾を飛ばして批判するだろう。確かコソボでは、アメリカは独立を支持したはずだ。だからだろうか、毎朝見ているCNNのサイトは、トップニュースはずっと「マレーシア航空370便」だ。茶番には付き合えないと考えているなら、CNNはさすがだと思う。

 微妙なのは日本の立場。
北方領土の事もあるし、ロシアの天然ガスを安く仕入れられれば、貿易収支の悪化に歯止めもかかる。だが、対中国の手前、今の時期はアメリカも支持しなければならない。両方の機嫌を損ねることなく、うまく立ち回らないといけない。政府関係者は大変だろうなと同情する。

 先行きどうなるのだろう。
もうしばらくは、クリミアのニュースからは目が離せそうもないのである・・・

【今週の読書】
元融資担当が教える 小さな会社がお金を借りるなら 銀行はおやめなさい - 加藤 康弘 悪韓論(新潮新書) - 室谷 克実 誰も戦争を教えてくれなかった - 古市 憲寿








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