2011年10月12日水曜日

ラグビーはタックルだ

タックルはラグビーの象徴的なプレーだ。豪快に決まれば観ている方もやっている方も気持ちが良い(やられた方はたまらない)。しかし、ラグビーをやっていれば、誰でもがタックルがうまくなるかというと、実はそうでもない。苦手としている人もかなりいると思う。

 

大概の者は、ボールを持って突進していくプレーは好むが、タックルには初めは抵抗感を持つもの。何せボールを持って勢いよく突っ込んでくる敵に、飛び込んでいくのだから躊躇もしようというもの。特に「守り=受身」と感じてしまうと、よけいである。かく言う私も高校時代はタックルが好きではなく、自分は「アタック型」の人間だと自分に言い聞かせていたものである。

 

それでも大学へ進むと、ポジション争いも激しくなり、そんな事を言っていられなくなった。

必然的にタックルの練習にも身が入り、いつのまにか抵抗感はなくなった。むしろタックルが好きになり、トライを取るよりもタックルで相手を倒す方に生きがいを感じるようになって今に至る。

 

しかし、特に体の大きなプレーヤーはこの過程を経ないままの者も多い。

体の小さな者は低いタックルをしないと大きな者を倒せない。

しかし逆は真ならず、体が大きければ捕まえるだけでも相手を倒せる。

身をかがめるのも大変だし、勢い腰の高い「抱きつくスタイルのタックル」になりやすい。

これは体が自分と同等か、あるいは自分よりも小さい相手にしか通用しないが、日本人同士だと体の大きい者はこれでやっていけてしまう。

 

ワールドカップでJapanの試合を観ていて、タックルが悪いなと感じていた。

タックル好きゆえにそういうところに目が行くのかもしれない。

しかし、何せJapanの選手は国内一流のプレーヤー。

私のような二流レベルが批判するのは、おこがましいというもの。

きっとグラウンドで実際にプレーしてみないとわからないものがあるのだろうと思っていた。

 

しかし先週末のウェールズvsアイルランド戦を観ていて、その考えは間違いだと気がついた。

予選でランキング3位の南アフリカに敗れたウェールズと2位のオーストラリアに勝ったアイルランドの準々決勝。アイルランドが勝つかと思っていたが、ウェールズの大きな選手が低いタックルでアイルランドの選手に襲いかかる。激しいプレーの連続で、アイルランドの攻撃を阻む。タックル好きの私が、画面に釘付けになってしまった。

 

結果はウェールズの勝利。

あの低くて激しいタックルが勝利を呼び込んだと言える。

それに比べるとJapanのタックルは情けない。

一流チームの大男があれだけ低いタックルをしているのに、格下のJapanがあのタックルでは勝てない。

 

思うに彼らは国内では一流で、低いタックルなどしなくともみんな格下だし通用してしまうのだ。アタックは一流だから、そこばかりが強調される。必死になって低いタックルをしなくても、「国内やせいぜいアジアでは」十分に通じる。かたやウェールズは国内で激しい競争があり、代表になってもアイルランド・イングランド・スコットランド・フランス・イタリアとの6カ国対抗戦で揉まれている。大男だって必死の低いタックルを必然的に繰り返すようになる。その差が出たのだと思う。

 

ワールドカップだって、国内の片隅で行われている草ラグビーだって、ラグビーはラグビーだ。低く激しいタックルはどんな試合だって大きな武器だ。「ボールを持っている選手」を「持っていない選手」が攻撃する方法がタックルだ。それが出来ないチームは格下相手でないと勝てない。Japanがワールドカップで勝てない理由がそこにあると思う。ウェールズのようなタックルをしていたら、少なくとも最終戦のカナダ戦は勝っていたはずだ。

 

あんなタックルではワールドカップでは勝てない。

Japanと言って威張るのなら、一流らしい低くて激しいタックルの見本を見せてもらいたいものだと思うのである・・・

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