「日本軍ははたして強かったのであろうか」
といっても戦争に負けた以上は愚問であるが、それを考える上でのヒントになる記述がある。
一つは当時の装備。
硫黄島守備にあたっていた陸軍の歩兵が持っていたのは三八式歩兵銃。
5発装填のシングルボルトアクションの銃である。
対する米軍は半自動小銃。
戦争も末期となって装備の差が如実に現れている。
新型兵器への転換の遅れは物資窮乏のせいでもあるだろうが、ノモンハン事件の教訓をもっと活かしていれば多少の変化はあったかもしれない。
一方で米軍が落とす爆弾には日本軍のものも多かったという。
南方戦線で捕獲した爆弾を米軍が使っていたものであるが、その理由として米軍の爆弾よりも性能が良かったから、とされている。不発弾が少なかったそうであるが、すでに日本製品の優秀性はこんなところにも現れていたのである。もしも研究開発のゆとりとそれを求める思想があれば、近代兵器への転換も行われ、戦況も多少は違っていたのかもしれない。
しかし防空壕の中で、目の前で人が焼け死ぬ、死体がごろごろしている、などという経験は言葉でいくら説明されても理解できるものではない。そんな経験をしなくても済むという事だけをもってしても、現代は幸せな時代なのである。
こういう貴重な体験記は是非とも読んでおきたいと思うのである・・・
0 件のコメント:
コメントを投稿