2019年6月9日日曜日

論語雑感 八佾第三(その25)

〔 原文 〕
子謂韶。盡美矣。又盡善也。謂武。盡美矣。未盡善也。
〔 読み下し 〕
()(しょう)()う。()()くせり、(また)(ぜん)()くせり。()()う。()()くせり、(いま)(ぜん)()くさざるなり。
【訳】
先師が楽曲韶(しょう)を評していわれた。――
「美の極致であり、また善の極致である」
さらに楽曲武(ぶ)を評していわれた。――
「美の極致ではあるが、まだ善の極致だとはいえない」(下村湖人『現代訳論語』)
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孔子が音楽について評した言葉である。と言っても、「韶」や「武」がどんな曲かもわからないし、「美の極致」や「善の極致」が一体何を意味するのかはわからない。まぁ当時奏でられていた曲には違いないし、それに対して良い悪いを判断しているのは間違いない。そもそもであるが、さすがに音楽ともなれば、「良い悪い」は完全に趣味の世界だと思う。たとえ孔子であろうと、「孔子が評価したから名曲」とは言えないであろう。

では、普通みんなどんな音楽を良いと評価するのだろうか。クラッシックのようなメロディーだけのものであればその良し悪しだし(まぁ指揮者や演奏楽団までも評価の対象とする通もいるだろう)、ポップスのようなものであれば「歌詞」か「メロディー」のどちらか、あるいは両方になるかもしれない。個人の感覚として心地良く感じれば「良い」と評価するだろう。

自分の場合、ではどんな曲が好きだろうか。クラッシックで言えば、パッフェルベルのカノンなどの超メジャーなものやバッハの宗教音楽などが好みだし、エルガーの威風堂々は自分の結婚式の入場で使ったし、まあ一通りのメジャーな音楽は聴いていて心地良いと思う。今も時折その時の気分で聴いたりするが、時間のゆとりがある時でないと、なかなか大御所の交響曲などは難しい。その点、カノンは短いという点でも気軽にYouTubeで楽しめる良さがある。パッフェルベルは、5分にも満たないこの一曲だけで「バッハを超えた」と言われているが、シンプル・イズ・ビューティフルの典型的な例かもしれないし、これが「美の極致」と言えるのかもしれない。

一方、一般のポップスのようなものだと、「歌詞」の要素が入ってくる。例えば浜崎あゆみを好きになったのは「SEASONS」のようなヒット曲ではなくて、実はSCARという曲であった。メロディーも良いのだが、特に歌詞の部分で「いいなぁ」と思える部分があって、特に音楽より言葉を紡ぎ出す方に価値を置く自分としては(はっきり言って音楽は自分では生み出せない)、大いに心打たれたのである。

また、ビートルズは古くから従兄弟の影響で聞いていたが、好みといえば“Let it be”のような大ヒット曲中心であるが、唯一歌詞で惹かれたのは、ジョン・レノンが歌ったIn my lifeである。英語の曲などボォーッと聞いていたら歌詞などわからないが、これは歌詞を見ていて思わず唸ってしまったものである。はっきり言ってメロディーだけだったらあまりインパクトはなかったと思うが、歌詞を知って以来、好きな曲になってしまったのである。

そう考えると、音楽だけでリラックスするのもいいが、歌詞とともにメロディーを味わうのもいいものである。それをうまく物語と結びつけたのがミュージカルであるが、歌詞と音楽と物語とをうまくブレンドした『マンマミーア!なんかは非常に楽しいものになっている。孔子が現代に蘇って観たらどんな感想を漏らすだろうかと思ってみたりする。

人によっては、音楽を事細かに表現・評価している。百田尚樹(『クラシック天才たちの到達点』)などはその最たる例であるが、自分にはそんな風に表現、評価する術はない。食べ物もそうであるが、食べて美味しければそれで良し、聴いて良ければそれで良し、理屈はいらないというタイプである。それしかないし、それでいいと思う。


 孔子のような評価はできないけど、音楽は感性で楽しみたいと思うのである・・・



♪IN MY LIFE♪
There are places I remember
All my life though some have changed
Some forever not for better
Some have gone and some remain
All these places have their moments
With lovers and friends I still can recall
Some are dead and some are living
In my life I've loved them all


【今週の読書】
  





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