先日、輸入業を営むある会社の社長さんにお話しを伺った。海外に知己の多いその社長さん、何人かの知人に資産を海外に移した方が良いと言われているらしい。近年、シンガポールあたりに移住するお金持ちが増えているらしいが、単に税金が安いというだけでなく、日本の財政破綻に備えるという意味もあるようである。
日本の財政赤字については、もうかなり国民の間に浸透していると思う。だが、危険性が主張される事はあっても、ではどうしようという事にはならない。平成26年度の予算も50兆円の収入(歳入)に対し、96兆円の支出(歳出)という状況。今月から消費税が上げられたが、今年度はそれによる税収増を見込んでのものだから、せっかくの増税も「焼け石に水」という気がする。よく例えられるように、「年収500万円の人が、960万円の支出の生活をしている」状況である。
普通に考えれば、このままいけばどこかで必ず破綻する。「日本には家計金融資産が1,600兆円あるから大丈夫だ」というような声もあるが、それは「破綻しても外国に迷惑をかけない」という意味で、「破綻しない」という意味ではない。言ってみれば、銀行から借金しているのと、身内から借金しているのとの違いみたいなものであろうか。「大丈夫」という意味は、「いざとなれば国民に負担を押し付けられるから外国には迷惑をかけない」という事なのかもしれない。
では、破綻したらどうなるのだろう。社長さんは、「資産を外国に移せ(例えばドル資産など)」と言うが、移すほどもない身としては、そんな事言われてもどうしようもない。沈みゆく船と運命を共にするしかない。一体どうなるのだろう。
まず国債がデフォルトとなれば、元金の償還と利息の支払いがストップする。国債を持っている銀行などは、預金の払い戻しが困難になるのだろう。仮に潰れないとしても、預金の一部しか下ろせないという事になるのかもしれない。まぁそれで困るのはお金持ちくらいかもしれないが、銀行もお金を貸せなくなるから、借りられなくなった中小企業への波及効果となると、測り知れない。
何せ税収は50兆円しかない(50兆円を維持できれば、の話だが・・・)。借金ができなければ、この範囲内でやりくりするしかない。社会保障費が今年度は30兆円だから、やっぱりここが一番大きい。地方交付税16兆円は無しにしたらどうなるのだろう。必要な財源は地方税の増税で、となると人口の少ない地方は大変だろうか。6兆円の公共投資は、全体から見ると意外と少ないと感じる。最低限の投資に抑えたらどうなるのだろう。
国債がデフォルトとなると、その波及効果もあるだろうから、素人にあれこれ想定するのは不可能だが、年金や医療費などは半減くらいは覚悟しないといけなくなるのだろう。生活できない人だって出てくるだろう。終戦直後よりはマシかもしれないが、かなり酷い状況になるに違いない。
そうなったら、“第二の敗戦”とも言うべきで、そこから底力を発揮してまた復活できるだろうか。今だったら、頑張って家族の為、国家の復活の為、何でもやって働こうという意欲はあるが、問題は「その時がいつになるか」だ。人生50年と言われた時代ならもう終わりの年齢になると、不安なのは「その時体が動くかどうか」だ。場合によっては、自ら「食い扶持を減らす」事を考えないといけないかもしれない。
もういい加減、どこかで引き返してほしいと思うが、どうなんだろう。ひょっとして、“Point of No Return”はもうとっくに過ぎてしまっているのだろうか。政治家にどうのこうのと言うのではなく、もう自分達で止めないといけない気がする。「アメリカと戦争をしても勝てない」とわかっていたのに、その道を進んでしまったかつての我が国。今度は違う道で同じ事をしてしまうのだろうか。そろそろ何とかしなければ、と強く思うのである・・・
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