ask not what your country can do for you – ask what you can do for your country
(J.F.K)
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朝刊に「菅総理が被災地を視察」という記事が出ていた。
総理による被災地視察は2回目だと言うが、最初の視察については震災翌日で、それが初動の遅れにつながったと批判を浴びている。一国のトップが訪問するとなると、周りの準備は相当なもの。混乱する現場を訪問する事は、士気を鼓舞する部分と邪魔をする部分とが相重なる事でもあり、なかなか難しいところだ。
その菅総理は、この震災でだいぶ救われた感じがする。
何せ震災前は360度の集中砲火を浴びて青息吐息であったのが、ニュースの大半が震災に向いたからだ。ひょっとしたら「天の恵み」ぐらいに思っているかもしれない。それでも被災地に行けば行ったで批判され、表に出なければ引きこもりと批判され、まあ日本のマスコミのする事とは言え、何をやっても批判されるのは気の毒な気もする。
個人的に菅総理は高校の先輩でもあるし、頑張ってほしいと思うのだが、やっぱりリーダーシップの欠如という面は否定できない。ある程度の批判は仕方ないにしても、かなりの部分は自ら招いていると言っても過言ではない。何も菅総理に限る話ではないが、ここ数年の日本の首相はみなそうだ。なぜそうなのかと考えると、どうも国民の顔色を伺い過ぎるところがあるように思う。何とか支持してもらおうと、国民が喜びそうな事をしようとばかりしているように思える(しかも、それすらできていないから尚更なのだ・・・)。
例えば恋愛においても、相手の好みに合わせようとしたところで好かれるわけがない。
女性にどんなタイプの男が好きかと聞いて、「優しい人が好き」と言われ、一生懸命人に優しくしたところで好きになってもらえるという事はまずない。これは私に限らず、心に何針も縫った跡がある者ならば、身に沁みてわかる事だろう。彼女が語る好きなタイプなど、何の参考にもならないのである。
アップルのスティーブ・ジョブスは、こんなパソコンを作りたいというイメージがあって、それを次々と形にしてきたのだと言う。それは消費者に「どんなパソコンがほしいか」というアンケートを取って、その通りに作るというものではない。自分がこんなものを作りたいと考え、そしてiMacから始りiPod、iPadといった製品を次々に生み出し、消費者を惹きつけてきた。
一時期瀕死だったアップルはスティーブ・ジョブスの復帰とともに復活し、今は業界をリードし、他社はアップルの真似に忙しい。
要は相手がどんなものを望んでいるかではなく、自分はどんなものを相手に提示できるか、なのだと思う。その結果、それが受け入れられれば認められる。自分はこんな男なのだというものがないと、相手の気を引く事は難しい(もちろん、それは容姿やファッションなどではなく、信念や考え方や生き方などであってほしいのだが・・・)。
菅総理にも同じ事が言えるのではないかと思う。
日本の総理大臣として、どんな方向に日本を進めていきたいのか、我々日本人は世界の中でどうあるべきなのか、それを総理大臣としてどのように実現させていきたいのか、そんな考え方はまったく出て来ない。小泉元総理は、内容はともかくとしてそうした一つの考え方を提示していたと思う。
だから5年も総理大臣をやれたのだろう。
「信無くば立たず」
論語の言葉が重く感じられる昨今の日本の政治家である。
菅総理には未曾有の危機の中で、何とかリーダーシップを発揮して頑張っていただきたいものである・・・
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