2019年8月15日木曜日

考えること


地銀、様子見・指示待ちは問題 金融庁長官と会見

金融庁の遠藤俊英長官は日本経済新聞のインタビューに応じた。厳しさを増す地方銀行の経営者に対し、他行の動きや当局の意見を気にする様子見をやめ、主体的に改革を進めるよう強く求めた。収益力の回復が見込めない地銀には、業務改善命令で改革を促すことを視野に入れる。かんぽ生命保険の不適切な保険販売には厳しく対処する考えを強調した。
2019/8/6 19:00 日本経済新聞
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 以前、日本の銀行を揶揄したジョークを聞いたことがある。ある銀行の頭取が、会議で結論を求められ、「金融庁は何と言っているのか?」「他行はどうしているのか?」「前例はどうなっているのか?」と聞いたという。当時銀行員だった私は、「まったく笑えないジョークだ」と思ったものである。上記の記事は、それが本当にジョークではないことを表している。

 どうしてそうなのかと問われれば、答えは簡単。「正しいことをやろうとするから」。否、「間違えないようにしようとするから」である。「金融庁の指示に従った」のであれば、あるいは「他行もやっているのならば」、または「過去にもやったやり方であれば」たとえ間違ったとしても、十分言い訳ができる。逆に独自に新たなチャレンジをして失敗すればまったく言い訳できず、「すべて自分の責任」になる。間違えないようにしてつつがなくトップになった頭取には、怖くてとても決断などできないだろうと思うのであろう。

 だが、このスタンスを笑うことのできる人はかなり少ないだろう。なぜなら、個人に置き換えてみれば、まさにサラリーマンなどはこの通りの行動をとっている人が大半だろうと思うからである。現に私の在席していた某メガバンクでは8割型はこういう思考回路で仕事をしていたと思う。「上司はどう思うだろうか」「周りのみんなはどうしているだろうか」「過去はどうやっただろうか」。それで、「間違えないように」慎重に仕事をしているのである。

 その根底にあるのは、もしかすると「そうは言っても何をすればいいかわからない」という感情かもしれない。確かにそれはあるだろう。世の中で何かヒット作がうまれるとたちまち類似品が出回ることは珍しくない。個人的にはそんな二番煎じはプライドが許さないところであり、自分ではやりたくない。しかし、どうしてもやるということであれば、せめて「どこかに違いを設けよう」と考える。ただ、世の中そんな考えばかりでないから、安易な模造品やニセモノが横行するのであろう。

 こうした事態を避けるために大事なことは、「常に考え続ける」ことだと思う。私も常にアイディア溢れるアイディアマンというわけではないが、とりあえずやってみるべきことはすぐに思い浮かぶ。思い浮かんだらまずやってみると、良いかダメかなんとなくわかる。それによって、また次の手を打ってみる。それでうまくいくとは限らないが、「動けば景色が変わる」もので、動き続けていくうちにそれなりの所にたどり着けそうな気がする。

 また、「何をしたらいいかわからない」という人は、「考える」ということをしていないように思える。ちょっと23分考えてみて「思いつかない」とさじを投げてしまう。それで「考えたけどダメ」と結論を下す。「考える」とは頭の中で「思い浮かべる」ということではなく、「疑問を持つ」ことであり、「その疑問を解消すること」だと思う。考えてわからなければ、ネットでヒントを検索してみたり、本屋へ行って何かないか眺めてみたりすればいい。そういうことをせずに、頭の中だけで23分あれこれ思い浮かべてみても何も出てこないだろう。

 いくつか「こんなのはどうだろうか」というのがあれば、とりあえず試しにやってみる。それらをやるだけやってダメなら、そこで初めて「ダメ」と思えばいい。冒頭の銀行のような組織だと、「試しにやってみる」なんてまず無理なのではないかと思う。みんなの同意をとっていたらまとまらないだろうし、先頭に立って引っ張る気概のある人がいないとまず無理だろう。そして横を見るのが得意な銀行員はまずそういう気概を持った者はいない。「お役人にそんなこと言われてていいのか」と思うも、まぁ無理なのではないかと思ってみたりする。
 
 中小企業でも、会議となれば黙って下を向いている人がいる。自分で考えることをせずに社長の意見=指示を待つているのである。自信がないのかもしれないが、少しずつやり方を説明していこうかと考えている。長年、そういうことに馴染んでいない人には難しいかもしれないが、これも自分の力を延ばすことにつながると思えばやってみる価値はある。そのあたり、自分も「考えて」みたいと思うのである・・・



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