それもワンポイントなどという可愛いものではなく、半袖の腕から手首にかけて一面にけっこう“ご立派”なシロモノである。だが、“その筋の人”かと言えば、どう見てもそんな感じには見えない。どう見ても“一般の人”だ。先日山手線内で見かけた人などは、Tシャツの腕どころか首に至るまではみ出るシロモノだった。
いつの頃からか、ワンポイントのシールも出回りだした。それと“タトゥー”という英語も一般的になり、“イレズミ”の持つちょっと暗いイメージを和らげている。そのせいか、女性でも胸の空いたところにワンポイントのタトゥーをしている人はよくいて、ついつい目が行ってしまうが、「タトゥーを見ているんだ」と心の中で一所懸命言い訳している。
しかしこのタトゥー(イレズミでも良いのだが)、夏場はプールへ行くと鬼っ子だ。「イレズミお断り」はどこでも看板が出ている。これは暴力団排除の為であろう。日本では伝統的にイレズミ=暴力団という図式が成り立っている。だから、暴力団排除の方便としてイレズミ禁止を謳っているのだろう。その昔、銭湯に行くと、“立派なモンモン”を背負った人を見かけたものだが、今も銭湯はそうなのだろうか。
先日夏休みの最後に、子供たちのリクエストで昭和記念公園のプールに行ったが、何人か腕にテープでガーゼのようなものを張り付けている人がいた。一人不自然に大きいものを張り付けていたのは外人さんで、それでタトゥーを隠していたのだった。外人さんからすれば、「イレズミ禁止」は訳がわからないかもしれない。タトゥー文化と刺青文化の違いではあるが、ちょっと気の毒な気がした。ただ、プールの人に、「これは良い、これはダメ」とやらせたら混乱を招くだろうから、仕方ないのだろう。
そう言えばいつだったか、大阪市役所で職員に対しイレズミの有無調査をやって、回答を拒否した職員が人権問題として訴えると息巻いているニュースを目にした。有無調査だから、「有か無か」答えるのが趣旨だし、公務員であれば職務命令として回答するのが当然だ。だから「何をバカな事を言っているこの勘違い職員め」と腹立たしく思ったが、そんな調査をやる事になったのも、児童福祉施設の職員がイレズミを見せて子供を脅したのだとか言うから呆れる限りだ。
イレズミで有名なのは「遠山の金さん」の桜吹雪だが、これは善玉。大阪市の例は、やっぱり日本のイレズミは“脅しに使う”ものだという人々の意識をあらわしたものかもしれない。みんながみんな桜吹雪というわけにもいかないし、やっぱり立派なイレズミは威圧感があるのは確か。プールでの禁止も、子供たちが多い事を考えると仕方ないのかもしれない。
それにしても、善玉のイレズミが日本に定着する事はあり得るのだろうか。もしもそうなら、自分だったらどうするだろう。上腕か胸の大胸筋のあたりにワンポイントのタトゥーなんか入れてもいいかもしれない。だが、その前に鍛えていないとしょぼくれたタトゥーになってしまうかもしれない。
タトゥーもいいかもしれないが、それよりも昔のような張りのある筋肉に憧れを感じる自分なのである・・・
【本日の読書】
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