今年も2026年卒の新卒採用活動を行っているが、今年は少々苦戦している。2025年卒と比べると、「今年も」と言った方が正確だろう。エンジニア市場は人材不足が常態化しており、かなりの「売り手市場」になっている。以前は比較的楽に学生を集められて選別採用できていたが、今は大手企業が従来手を出さなかったところまで進出してきている感じがする。学生側からすれば選択肢が増えているという事になるのだろう。それはそれで良い事であると思うが、採用側からすれば大変である。
我々は専門学校生の採用に当たってはまずは企業説明会を開催させていただく事が多い。同業他社何社かと合同でやるパターンや、学校側から招待されて同業他社と参加するパターンが主なものである。事前に学校側から生徒に参加企業の資料が配られ、生徒が話を聞きたい企業を選択して当日その企業のブースを訪問するというのが一般的なパターンである。生徒が企業を選ぶ最初の入口はホームページか先生の説明になるのだろうと思うが、最終的に何が決め手になったのかはわからない。
その選別を経て学生が企業ブースにきていただければそこからはこちらのテリトリー。あとは我が社の説明を聞いていただいて面接に進んでいただけるかどうかになる。我々も一生懸命自社のPRをするが、面接ともなれば今度は我々が選別する立場となる。正直言って学生さんはポテンシャルで採用する事になる。実績がないわけであるから当然であるが、面接の受け答えからそれを判断していくしかない。それでもアルバイトの経験や学校でやっている事、クラブ活動の様子など多方面に話題を振ってその受け答えを見ていくのである。
採用というと、何か企業が一方的に選別し、学生はそれに振り回されて一喜一憂するというイメージがあるが、それは大手上場企業など一部の企業に限った話で、我々のような知名度のない中小企業には当てはまらない。我々もまた「選んでもらう」立場である。そういう意味では、学生さんと対等の関係と言えるのかもしれない。我々は「選ぶ立場」であるが、同時に「選ばれる立場」でもあるのである。どうしたら選ばれるのか、に常に頭を悩ませているというわけである。
そう考えてみると、中小企業にとっては採用活動は「お見合い」みたいなものと言えるかもしれない。こちらも選ぶが相手も選ぶ。選ぶのはこちらの自由意志でいいが、選ばれるためにはそれなりの努力が必要である。それはやはり自分自身の魅力を高める以外にはない。まさか噓の説明をするわけにもいかない。なにせ就職すればバレてしまうわけであり、嘘で塗り固めるのは論外として、いかに就職先として魅力ある職場なのかをPRするとともに、そういう職場作りをしていかないといけないわけである。
そのあたりは並行して続けているのであるが、それでもまだまだである。先日の企業説明会でも、ブースを構える私の目の前をメモを見ながら学生が何人も通り過ぎていくのを見送るのはなかなか辛い事であった。おそらく事前検討の段階で他の企業を選んだ結果なのだろう。私の顔を見て通り過ぎていったのであれば「人相が悪い」と言われてしまうだろうが、そうではなかったので、おそらくホームページを見て選別したのであろう。企業規模なのか、事業内容なのか、それ以外なのか。
選ばれた場合もその理由は気になるが、それは入社後にでも聞くことができる。しかし、選ばれなかった理由は聞けない。考えてみれば、本当に聞きたいのはむしろ「選ばなかった理由」である。しかし、なかなかそれは難しい。そう言えば多感な10〜20代の頃、女性に振られるたびになぜなんだろうと悩んだものである。理由がわかれば改善のしようもあるが、わからなければわからないまま同じ轍を踏むことになる。しかし、そんなのは教えてくれる事もなく、同じ轍を踏み続けた。
結局はそういうものなのかもしれない。選ばれぬ理由を探し求めつつ、あれこれと暗中模索しながら答えを見つける努力をし続けるしかないのかもしれない。考えてみれば、人によって相手に求めるものは同じではないだろう。単純にイケメンがいいという人もいれば、勤務先や推定年収で選ぶ人もいるだろうし、人柄で選ぶ人もいるだろう。企業も初任給重視の人もいれば、会社の雰囲気や仕事内容で選ぶ人もいるだろう。我が社の場合は「社長の人柄」という人が結構いる。選ばれなかったのは、相手の選定基準に満たなかったからであるが、それが何かを考えても仕方ないのかもしれない。
いずれにせよ、自分が満足して働いている会社であれば、胸を張って誘えるだろう。社員と面談をしているのでその時に満足度を聞いているからそれを参考にするのもいい。みんなが満足して働いている会社であれば、学生にも訴えられるものがあるだろう。「選ばれぬ理由」を推測して対策を取るのも大事であるが、それ以上に魅力ある会社作りを考えていきたいと思うのである・・・
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Gerd AltmannによるPixabayからの画像 |
【本日の読書】
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