2024年6月23日日曜日

管理職について思うこと

やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。
山本五十六

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 ここのところ会社では管理職のあり方について考えている。自分の考えが必ずしも正しいとは思っていないが、諸々考えると、管理職について「こうあって欲しい」という私の思いはあながち的外れではないと思う。某課長に対しては、常々会社としてやって欲しいことを伝えているが、「そうは言っても現場は大変だということを理解してほしい」との反論が返ってきてなかなかうまく行かない。実際、その課長さんは土日に社内のコミュニケーションツールで連絡してくる事が多々ある。平日はなかなかできないという事であり、忙しいのは事実である。

 私もそんな課長職の負担をどうしたら軽くできるだろうかと考えていた。ところが、先日、ひょんなところから意外な事実が判明した。それはその課長さんのチームの残業時間の一覧を目にした事である。課長さんだけが残業が飛び抜けて多く(ちなみに我が社では管理職に時間外手当はつかない)、他のメンバーは極端に少ない。それどころかほぼ毎日定時退社している若手もいる。個々のメンバーと面談してみると、みんな一様に「課長は忙しそう」と口を揃える。

 いろいろと関係各部署にヒアリングしてみたところ、どうやらその課長さんは1人で仕事を抱え込んでいるらしいとわかった。こういうタイプはよく見かける。実は我が社にももう1人このタイプの課長がいる。仕事はチームとして完成させれば良いわけで、課長が1人で背負い込むことはない。もっとメンバーに仕事を割り振れば良いのであるが、そうはしない。おそらく、「できないから」という理由が返ってきそうな気がする。私も実際の業務内容はわからないが、それはその課長の思い過ごしであると思う。

 もちろん、中身によっては任せられる仕事と任せられない仕事があるのはわかる。だが、意外と任せてみれば出来てしまうものであるのも確かである。例えば大口の取引先で、課長が直接対応しなければならないと思われるところであっても、あえて若手に担当させるのである。大事なのは「任せっぱなしにしない」事であり、例えば週一回の訪問ルールを決め、訪問してきたらその報告をさせ、どんな話をしたのか確認し、次回はどうするという風に綿密にフォローすればできたりする。

 さらに月に一度は課長も一緒に訪問してフォローすれば、課長がどんな話をするのか同行した担当者は勉強できる。取引先も大事な話は課長がきちんときてくれれば若手が担当でも文句は出ないだろう。あらかじめ取引先にその旨を伝えて協力を依頼するという事もできる。「若手には任せられない」という事はないと思う。1人で抱え込むのではなく、言葉で励ましながら、サポートすれば若手でも十分にこなせるだろう。それに負荷をかかる仕事をこなせば若手も成長する。人材育成が業務を行いながらできるのである。

我が社では、課長に3つの責任を負ってもらっているのは前回述べた通りである。すなわち、    
 1. 業務遂行責任
 2. 収益管理責任
 3. 人事労務管理責任
である。大事な事は、このどれかをやるのではなく、どれもバランスよくやる事である。よく誤解されがちなのは、業務遂行責任だけ果たせば良いというものではない。「業務が大変だから(他の管理ができない)」という言い訳はできないのである。

 そのためには「時間的なゆとり」が必要であり、土日も仕事をするのではなく、仕事は部下に任せて自分は管理に回るという姿勢である。課長には課長にしかできない仕事をし、そうでない仕事は部下に任せないといけない。そして部下は仕事を任されてそれをこなせば成長できるものであり、まさに一石二鳥の効果がある。会社の方針を理解し、それを部下に伝達する。部下のお悩み相談に乗る。仕事のやり方も教える。そうした事にはゆとりが必要であり、課長はそのゆとりを持たねばならないのである。

 「任せられない」というのは、結局、部下がその仕事に耐えられないのではなく、部下に任せる能力が課長にないのではないかと思えてならない。それは一面では責任感の表れでもあると思うが、本来管理職が期待されていることという観点からすれば、それは的外れな責任感でもある。得てして、自分の好きな事、得意な事、やりたい事という観点から「自分がやらないと」と思っているのではないかとすら思えてしまう。

 「任せてやらねば人は育たず」を実践してもらいたいと思うのである・・・

Sergio Cerrato - ItaliaによるPixabayからの画像

【本日の読書】

考える葦 - 平野啓一郎  クスノキの女神 - 東野 圭吾





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