今、レオナルド・ダ・ヴィンチの伝記を読んでいる。ルネッサンスの巨人として知ってはいたが、詳しく知れば知るほどかなり多芸な人だったとわかる。とは言え、一番よく知られているのは、やはり「モナリザ」だろう。有名すぎるくらい有名な名画であり、世界一と言われても異論はまったくない。ただ、疑問に思うのは、「世界一の基準」だ。何を持って世界一なのだろうか。ちなみにちょっと検索してみると、「世界の名画ランキング」では、やはり「モナリザ」が堂々の1位である。その他を含め、ランキングは以下のようになっている。
1位 ダ・ウインチ「モナ・リザ」
2位 ボッティチェリ「ヴィーナスの誕生」
3位 ミレー「落穂拾い」
4位 ムンク「叫び」
5位 ピカソ「ゲルニカ」
6位 ドラクロワ「民衆を導く自由の女神」
7位 ゴッホ「ひまわり」
8位 フェルメール「真珠の耳飾りの少女」
9位 サルバドール・ダリ「記憶の固執」
10位 ルノワール「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」
順位についてまったく異論はない。ただ、個人的な好みからすると、少々異なる。個人的に好きな絵はと問われると、やはりミレーだろうか。「晩鐘」や「落穂拾い」はいつまでも眺めていたいと思う。ランキング内では、ドラクロワの「民衆を導く自由の女神」とフェルメールの「真珠の耳飾りの少女」がいいと思う。レオナルド・ダ・ヴィンチの作品ではやっぱり「最後の晩餐」が一番いいと思う。いつか多少のお金はかかっても、本物を見に行きたいと思う。一方、ランキングに入っていても、ピカソの「ゲルニカ」は好みではない。極端な話、ただでもわざわざ見に行きたいとは思わない。面白いものである。
今は、ラグビーのW杯がフランスで開催されている。今回も全試合テレビ観戦しようとしているが、スポーツは世界一の基準は簡単だ。ラグビーは点数ではっきり勝敗が決まる。W杯で全48試合が行われ、最後まで勝ち残ったチームが世界一である。誰からも異論の出ようがない。しかし、芸術作品はそういう基準がない。もちろん、「モナリザ」は輪郭線を描かないでぼかす「スフマート」や空気を描き込むことで奥行き感を出す「空気遠近法」などのテクニックが使われているそうで、玄人を唸らせるものもあるのだろう。ただ素人にはわからない。
しかし、それはそれでいいのだろうと思う。音楽もそうだが、結局、玄人の評価と素人の評価は違う。芸術作品は、結局のところ、それを鑑賞する人の心をいかに動かすかであって、それがすべてである。玄人がピカソの絵をいかに絶賛しようと、私の心は1ミリも動かない。しかし、ミレーの絵なら1日中眺めていたいと思う。クラッシックで言えば、バッハが好きだし、パッフェルベルの「カノン」のような音楽も好きだし、一方で眠くなるだけというのもある。専門家がいかに絶賛しようが、結局、個人の心をいかに動かすかだ。
絵画について分析してみると、先に挙げた個人の好みの傾向を探っていくと、なんとなく「物語を含む人物の絵」という傾向が見えてくる。「晩鐘」は、夕方、あたりに鳴り響く鐘の音を聞きながら、夫婦で祈りを捧げている絵である。1日の労働を終え、何を祈っているのだろうか、鐘はどんな風に響き渡っているのだろうか、このあと夫婦でどんな会話をしながら家路に着くのだろうか、いろいろと想像は広がっていく。たぶん、この絵を1日眺めていても飽きないと思う。そういう絵画に心惹かれるのである。ピカソの絵を見ていても頭が痛くなるだけである。
何が世界一かは、芸術作品に関しては関係ないと思う。「自分で見てどう感じるか」が大事であると思う。たとえそれがどんなに無名の画家の手になるものであろうと、自分の心が動かされるものが一番である。そう言えば、20年以上前になるが、バリ島に行った時にお土産で買った絵がある。当時5,000円くらいし、現地の物価水準からするとバカ高かったが、どうしても欲しくて買ってしまった。妻からはぼったくりだと言われたが、その価値はあると思った。今でも部屋に飾っているが、買ってよかったと思う。そういうものである。
これから時間をとって美術館巡りをして、そういう知らない画家の作品を探してみようかなと思う。仕事を引退しても、いろいろとやる事は多そうだなと思うのである・・・
バリの無名画家の作品 |
【本日の読書】
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