2013年8月24日土曜日

消費税は増税するべきか

 参院選で大勝利し、ねじれ国会も解消し、安倍政権もいよいよ本領発揮というところ。そろそろ世間では、来年春に迫った消費税引き上げを巡る議論が始ったようで、いろいろなところで賛否両論を目にする。
「予定通り上げるべきだ」
「いや、ここで上げたら元も子もない」
賛成、反対それぞれ耳を傾けているが、正直自分でもよくわからない。

 消費税率を引き上げることの最大の意義は、財政の健全化を進めること。国の借金残高(国債、借入金、政府短期証券)は6月末で初めて1,000兆円を超え、なお止まる気配はない。GDPの2倍近い水準は先進国では最悪。財政を圧迫する最大の要因は社会保障費の増加で、急速な少子高齢化の進展で、年金・医療費など社会保障費は年1兆円規模で増加しているらしい。これ以上この状態を放置すると、日本の国債の国際的な信認は落ち、金利が上昇し、その負担が覆い被さるのだという。そして消費税率を1%引き上げると、年間で約2兆7,000億円の増収につながるらしい。

 一方で、税率を引き上げた場合の懸念材料は、景気を冷やす恐れだ。黒田日銀総裁は、「消費税を上げても経済成長は続く」と強気だが、大和総研の試算では、夫婦どちらかが働く年収500万円の4人家族の場合、消費税が10%となった後の2016年には、5%の2011年に比べ、消費税負担が年間16万7千円増えるとしている。厚生年金の保険料増加など消費税以外の負担増を含めると年間31万~32万円に達しするというから、相当な負担増である。これだけ増えても経済成長に貢献できるほどの消費生活を送れるかと考えると、我が家に限ればほとんど不可能だ。

 1997年4月に消費税率を3%から5%に上げた際は、同年4~6月のGDPは、個人消費や住宅投資の落ち込みの影響で年率換算で3.7%減と大幅に落ち込んでいる。さらに極め付けは、肝心の税収。1997年の税収は53.9兆円であるが、以後税収はこれを上回っていない。つまり消費税を上げても所得税及び法人税が減ってしまい、トータルでの税収は増えていないのである。

 どちらもそれなりに専門家が主張している事であり、素人の自分がどちらが正しいなどという事はできない。ただ、我々の生活実感からしてみれば、やっぱり上がらない方がいいに決まっている。私の乏しいこずかいがまたまた目減りするのは確実だからだ。国家のためには仕方ないのかと思う反面、何だか相変わらず違和感を覚える議論だ。どうして「入り」の議論ばかり熱心で、「出」を抑える議論が聞こえてこないのだろう。

 身の周りでもおかしな事が多い。その一つが道路の拡張。最近我が家の比較的近所では大きな道路が開通した。さらに娘が通う中学校の真ん中を通る道路の計画がどうやら動き始めた。両親の住む実家は、戦後間もなくの道路事業がいよいよ認可になり、数年後には立ち退きが必要と告知された。いずれも「なくても困らない道路」だ。そんなお金、どこにあるのだろう?

 老朽化が進んでいる首都高の補強とか、トンネル事故の例をだすまでもなく、道路の補修・補強工事は仕方がない。だが、なぜ住民から要望があるわけでもない(娘の中学分断道路などは反対論が出ている)道路を作るのだろう?これこそ「無駄」というものに他ならない。

 東京オリンピックと言って騒いでいるが、これだって景気浮揚効果も一時的だろうし、一体いくらの税金を使うのだろう。現実的に長野オリンピックでは、長野県は莫大な県債を抱え込んだと報じられていた。東京都は豊かだから大丈夫だとかいう話ではない。それだけ豊かなら住民税を還付してもらった方がはるかに良い。「無邪気にオリンピック誘致」などと浮かれている人は、そうしたところを考えているのだろうか。

 個人の生活はいくらでも自助努力するが、こういう社会の問題は自助努力の範囲外だ。だからよりよい判断をして欲しいと思うところだ。新しい道路の建設はすべて凍結し、オリンピックはさっさと辞退し、その分住民税を大幅に下げて都内の景気刺激策とする。まずこれだけでもやる効果はあるだろう。

 その上で消費税だが、やっぱり上げない方が正解な気がする。それが生活者としての実感である・・・

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