2009年6月27日土曜日

マスコミ

 目にしたニュースにちょっと驚いた。
『日本の台湾統治を取り上げた番組に偏向・歪曲があったとして、視聴者らがNHKを相手取り、損害賠償請求の訴訟を起こした。』
というものだ。 実はこの問題の番組は4月5日に放映されたNHKスペシャル「アジアの一等国」である。この手のテーマには感心があったため、見ていたのだ。そしてその内容に驚いてもいた。

 戦時中の台湾は日本の統治下にあった。同じ統治下の朝鮮半島や一部の中国とは違い、比較的うまく統治され、台湾には李登輝元総統をはじめとして親日家も多いと認識していたから、それと真っ向から対立する内容に驚いたのだ。それとともに「日本の占領政策にはやっぱり恨みつらみしかなかったのだな」と思い直したのだ。
 
 日本の占領政策は当時の欧米勢の植民地政策とは異なるものであった。欧米のそれが、「略奪式」であるのに対し、日本のそれは「国土延長式」とでもいうべきもので、国内と同様の発展・整備を促したものであった。事実、当時のダムは今でも立派に役立ち、日本の統治下に農業も飛躍的に発展し、国民生活も豊かになったのも事実だ。

 ただ、それは言ってみれば植民地経営方式の違いであって、だから日本は正しかったというものではない。ただ、そういうやり方だったからこそ台湾も日本統治下で大きく発展したのであり、それゆえに親日的な人も多いと認識していたのだ。ところが、番組はそんな認識をひっくり返すものであった。

 今回訴訟のニュースを見ると、『原告には台湾人も含まれている。取材に応じた台湾人の話を一方的に都合良く編集していると指摘し、日本の良い面も悪い面も話したのに、悪い面だけが放送された、NHKにだまされた、などと訴えている』という。さらに台湾統治下の暴動を「日台戦争」と表現したり、先住民族を日英博覧会(1910年)に出演させた企画を「人間動物園」と表現したりしたことを例として挙げている。

 異なる意見の対立があれば、両方公平に報じるのがマスコミの義務であるべきだ。
事実だとしたら由々しき問題だ。
私はすっかり番組の「日本悪役論」を信じてしまった。
悪い面だけ放送する、悪いイメージの造語を流すといった行為は公平性とはほど遠い。
 
 こうした情報操作の恐ろしさは言わずもがな、である。
知識の乏しい者は捻じ曲げられた事実をそのまま信じてしまう。
パールハーバーだってアメリカは自国にとって都合の悪い事実を国民に伏せたまま、「卑怯な日本人」の部分だけ国民に知らせたのは、今や公然たる事実だ。

 事実は動かせなくとも、光の当て方によってその見え方は大きく異なる。マスコミの言う事は信用できないとわかっていても、すべて見破れるわけでもない。事件発生から15年を記念して松本サリン事件が何かと取り上げられているが、あれも偏向報道の良い例だ。

 いったい我々はどうやったら常に正しい事実を知る事ができるのだろう。ちなみに冒頭のニュースは産経新聞である。産経新聞は真っ先に報道するが、朝日新聞は絶対に報道しない。両極端にある2紙ならではであるが、どちらをとるかで触れるニュースも異なるわけである。

 これが今の世の中である、という事だけはしっかり心に刻んでおきたいし、それぐらいしかやれる事はない。そういう事なのである・・・

     

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