企業の財務を担当していると、どうも「コスト削減屋」というイメージを持たれる。実際そういう面はかなりある。私自身コストについては常に意識しているし、無駄なコストは削減しようと常々考えている。しかし、ただカットすればいいかと言えばそうではない。費用対効果という言葉があるが、コストをかけてもそれを上回るリターンがあるのであれば、それは収益に負担となる「コスト」ではなく、将来の収益に向けての「投資」になる。同じかけるにしても「コスト」なのか「投資」なのかは重要である。コストはカットしてもいいが、投資をカットすると将来の収益を失うことになる。その見極めが難しい。
さらにカットすべきコストだとしても、コストカットの効果も大事である。ちまちまコストを削減しても全体的に大して影響がない場合、かける手間ひまや疲弊する人心を考えると、果たしてそれがいいのかという気がする。以前、ニデックの名物会長が職場の電気を消すという地道なコストカットを実践しているのを何かで見たことがある。実際に業績回復させているわけであり、それが正しいことなのだろう。蛍光灯の電気代など微々たるものという気がするが、広い社内であったりすればチリ積で大きな効果になるのかもしれない。でも我が社では気が滅入るだけだろう。
利益を出すための第一はやはり「売上」だと思う。売上が上がれば多少経費はかかっても利益は出る。逆に売上が上がらなければ多少コストを削ったところで利益は出ない。例えば5億円の売上があり、原価率が25%だと粗利は1億2,500万円。販管費が1億2,500万円だと営業利益は0である。ここで売上が1,000万円伸びても販管費が1,000万円減っても利益が1,000万円出るという結果においては同じであるが、一般的に売上を1,000万円伸ばす方が販管費を1,000万円落とすよりもたやすいものである。販管費には「人件費」があり、簡単に減らせないのは想像できるだろう。
それに経費削減は売上の増加と両輪でやるべきもので、「売上が上がらないから経費削減で」利益を出そうとする内向きの発想だとどうしても考え方が目先に囚われてしまい、企業の拡大発展という面に目が行きにくくなる。通常は営業が売上増加を考え、財務が経費削減を考え、社長が両輪で見るというのがありうべき姿であろう。企業は社長の器以上に大きくならないという事はよく言われるが、経費削減ばかりに目がいく社長だと企業の拡大発展という面がおろそかになってしまうだろう。そういう意味で社長の器は大事である。
前職では社長が会社をM&Aで売り払ってしまった(それも足元を見て買い叩かれて)。最後にその社長がのたまわったのは、「不動産管理(その時の本業であった)なら手数料を払えば社員に任せなくてもできる」という事であった。我々は、(その社長にとって)手数料に置き換えられる単なるコストだったわけである。そう思われてしまっていた我々にも責任はあるのかもしれない。ただ、それはそれとして、その社長は社員を単なるコストとしか見ていなかったという事である(そのコストのおかげで6期連続で増収になったわけであるが・・・)。
ディズニーランドで遊ぶには、高い入場料を払わないといけない。それと同様に企業も社員を使って金儲けをするなら必要なお金をかけなければならない。効率よく業務を行うためには費用をかけてツールを導入しないといけないかもしれない。信用を高めるには立派なオフィスを借りて構える必要があるかもしれない。それらを維持できるのは何よりも「売上」である。企業は徹底して売上を追及すべきであると基本的には思う。赤字になりそうとなった時、どうやったら売上を上げるかを真っ先に考える発想が必要だと思う。
そこでコスト削減にしか目がいかないようであれば、その企業の行く末も危ぶまれるというものである。まぁ、その際に真っ先にカット対象となる「コスト」とみなされないように自らを高めていく必要はあるだろう。コストにならないように努力し続けたいと思うのである・・・
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| Gerd AltmannによるPixabayからの画像 |
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