息子はこの春、大学3年生になった。もうあと2年で私の子育ても終わる。今は別居しているが、それは苦ではない。そもそも同居していても会話は少なくなっていたし、小さい頃、「パパ、パパ」と言って寄ってきたのを思うと寂しい気がするが、それが成長というものであり仕方がない。家を出る時に子供と別居するのが後ろ髪を引かれた部分であるが、いずれ子供達も独立して家を出ていく。地方の大学に行っていたらもっと早かったわけであり、そう腹を括って家を出たという経緯がある。
それでも父親である限り、息子の人生には関与したいと考えている。今はそろそろ就職の事も視野に入ってきていると思うし、近々会って話をしようと考えている。以前、2人で酒を飲みに行ったが、それ以来の2人だけでの会話になる予定である。そこでどんな話をしようかとあれこれと考えている。息子の考えに口を挟むつもりはあまりないが、私と息子ではまず人生経験が違う。悔いのない学生生活を送ってもらうためにも、1人の経験談を話して聞かせるのもまた息子のためになると思う。
大学3年ともなれば、そろそろ就活ということが頭にあるだろう。どの業界がいいかと問われると、銀行くらいしか経験のない私からすると、「銀行はやめておいたら」というのが正直な気持ち。そう言えばその昔、「子供を銀行員にさせたくない」という話を聞いたことがある。それはある業績不振の取引先の担保処分に同行した時のこと。よほど面白くなかったのであろう、銀行員がいかに非人道的かという話を私にしてきた。曰く、知り合いの銀行員が「子供には継がせたくないと言っていた」と。同意を求められた私はキッパリと反論した。「そんなに嫌な仕事ならとっくに辞めてますよ」と。「子供がなりたいというなら私は応援します」と。
その時は、業績不振から担保に差し入れた不動産を売却して借入金を返済させられる恨みを若手の私にぶつけてきたのであるが、銀行は決して嫌な仕事ではないと強く反論した。ではなぜ息子には「辞めておいたら」と言うのかと問われれば、もう銀行という仕事を知り尽くし、自分にとっては魅力が薄れているからである。もし、時間を戻して就活時に戻れるなら、別の仕事をやってみたいと思うからに他ならない。今、お付き合いのある銀行の担当者を見ていても、あまり変わっていない。自分で面白そうだと思えない職業は勧めたくないと思うからである。
それよりもやはり大事なのは「学生生活」。これはもう残り少ない。就活も「将来のことを考える」という意味では必要だが、8:2で学生生活を優先すべきだと思う。そこははっきり息子にも伝えたい。大学の勉強は、「卒業に必要な単位を取る」という意味と、「今しか学べないことを学ぶ」という意味がある。私もそういう意味で、当時は(今も?)遊び優先の学生が大半を占める中で、他の学部の講義とかも幅広くまじめに聴いたものである。面白そうな講座があれば単位とは関係なくても学ぶくらいであってもいいと思う。
アルバイトも貴重な経験になる。大いにやるといいと思う。苦学生は別だが、学生時代のアルバイトはある意味気軽にできる。いつもよく行く近所のスーパーに中年男性がレジに立っている。おそらくパートかアルバイトなのだろうが、いつもどんな事情があるのだろうかと考えてしまう。女性なら、家計の足しにするためのパートなのかなと思えるが、男性のパートは秘められた事情を想像してしまう(そんなことを考えるのは私だけだろうか)。もしかしたら、起業で成功して大金を手にしてアーリーリタイアし、暇つぶしで働いているのかもしれないが・・・
親父の言葉を息子はどう捉えるだろうか。上から目線で押し付けがましく言えば嫌われる。それはこれまで多くのドラマや小説や実例で学んできたこと。息子の考えを尊重しつつ、「自分の判断の参考にしたら」というつもりで話したい。私も親父の話は仕事の役に立つということはあまりなかったが、いろいろと考えるヒントにはなった。きっと息子にも何かのヒントになるだろうと思う。そう信じて、息子と2回目の酒席を楽しみにしたいと思うのである・・・









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