知人から独立を考えているという話を聞いていろいろと考えた。知人のやっている仕事はコンサルタントのような仕事で、お客様から(会社が)いただいている金額と自分の給料とを見比べ、その差額の大きさに「これなら独立した方が得だ」と考えたようである。これはコンサル系に限らず、あり得ることである。当然ながら会社もお客様からいただいたお金をそのまま社員に渡していたら事業として成り立たない。会社を維持する経費もかかる。会社としては利益を取った上で給料という形で社員に還元するのは当然である。
その昔、青色LEDを発明・実用化してノーベル賞に輝いた技術者が、それによって多額の利益を得た会社に対し、給料以上の還元を求めて会社を訴えたのを覚えているが、差額が大きい場合は貢献した社員としては「もう少しよこせ」と思う気持ちはよく理解できる。会社の看板がなくても独立して食っていけるというのであればそれも本人の判断である。ただ、会社の立場に立つと、本人が「食っていける」というレベルになるまで給料を払って育成したのは会社であり、すぐ独立されてもかなわないだろうなと思う。
青色LEDも成功したからこそであり、失敗していたら結局「ムダ飯食い」の社員を会社はずっと面倒をみないといけなかったはずであり、そこは会社としてリスクを取っているわけである。投資と同じで、100社に投資して99社が失敗しても残り1社が成功すれば99社の損失を補って余りある利益を手に入れられるわけであり、だから投資もできる。会社はそうして成功するかどうかわからない研究をさせているわけであり、成功したから分け前をよこせと言われても(金額にもよるが)「はいそうですか」とは言えない事情にあるのも想像がつく。
コンサル系の彼もそういう事情は考慮すべきだが、だからといって一生ご奉公しなければならないというのもおかしな話。ある程度貢献したら独立もありだろう。あとは会社に属するメリットとデメリットの比較ではないかと思う。私はコンサルのように独立しても食っていける技量のあるビジネスマンではないから必然的にどこかの会社に属して働くということを選択せざるを得ない。あとはいかに自分を高く買ってくれるところに所属するかということになる。世の中の多くのビジネスマンはそうだろうと思う。
会社勤めと個人事業とを比較してみると、会社に所属することはまず楽である。仕事は与えられたものをやればいいし、給料は毎月手取り金額を振り込んでくれる。社会保険料だって半額負担してくれるし、税金の納付もすべてやってくれる。仕事だけやっていればいいわけであり、気づいていない人も多いが、何よりも楽である。個人事業者だとそうはいかない。取引先との交渉による仕事の確保、税金の計算と納付、国保の納付(会社で給料から引かれる保険料より高い)、後輩の面倒を見る必要はないが、仕事が途切れればその月は収入が0という事もあり得る。
よく会社勤めに向いている、向いていないという事が言われるが、向き不向きの話ではなく、1人でやっていけるかいけないかの話だと思う。私自身は残念ながら1人ではやっていけない。父は印刷工だったが、のちに独立して個人事業者になった。腕が良かったとの事で、独立後も取引先からの受注は絶えることなく、同業者には夜逃げをせざるを得ない人もいる中、無事無借金で引退した。学生時代は1人工場で黙々と印刷機を回す父を見て、自分はやりたくないと思ったが、就職して世の中を知って改めて凄いなと感心した。私にはとてもできないことである。
私にはとうてい個人事業者として1人でやっていく自信はない。まぁ、前職の不動産業時代は、個人的にお金を集めて不動産に投資し、会社を作ればサラリーマンと二足の草鞋も可能だなと思ったが、本格的に不動産投資で利益を得ようと思ったら、管理会社に任せっ放しという事ではダメで、結局両立は難しいと判断した。それでも両立ではなく独立してとなれば、できないこともなかったが、正直リスクを取ってまでやるかと言われればそこまでの覚悟はなかった。リスクの海を泳ぎ切るのは精神的にキツイと思う。
会社勤めしかできない自分ではあるが、会社もまた人を必要としているわけであり、ならばより必要とされる人間になるしかない。考えてみれば取締役というのも不安定な立場である。ある日突然解雇されればそれまでである。従業員なら不当解雇で訴える道はあるが、取締役にはない。雇用保険にも入れないから失業給付ももらえない。事実、前職では社長に裏切られ、首にされたが(取締役の地位を守るという点では)どうにもできなかった(代わりに関連会社を合法的に乗っ取ってそれなりの退職金を手にしたが・・・)。
幸い、今の会社でも社員で入社したあと、働きを認めていただいて取締役にしていただいた。身分は危うくなったが、裁量と収入は増えている。いつ何時首を切られるかわからない不安定な立場であるが、身を守るには実績で示すしかない。自分ではよくやっていると思っていても、まわりがそう思っているかはわからない。「評価は他人が下したものが正しい」とは故野村監督の言葉であるが、コミュニケーションを取りながら自分の評価を確認しつつ、実績を積み上げていくしかない。
個人事業者ほどではないが、気持ち的には個人事業者に負けじとリスクの海を泳いでいる意識はある。「会社に自営業に来ていると思いなさい」とはユニクロの柳井社長の言葉ではあるが、自分もそれを意識したいと思う。これからも慢心することなく、個人事業をしている意識を持って働きたいと思うのである・・・
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【本日の読書】












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