2026年3月5日木曜日

アメリカのイラン攻撃に思う

  先週、しきりにニュースでアメリカがイランを攻撃する可能性が報じられていた。どういうルートから情報を得ていたのかわからないが、週末になって実際に攻撃が行われた。ニュースで報じられるからにはそれなりのニュースソースから情報を得ていたのだとは思うが、マスコミがわかるという事は、イランもわかっていたのではないかという気がする。わかっていたからといって防げるものでもないが、危機管理という意味では対応策を考えていたのではないかと思う。それでも指導者を含めて幹部が多く殺害されているのは準備ができなかったのか、それを上回る攻撃だったのか、いろいろと思うところは多い。

 その昔、戦争は宣戦布告をもってなされるものであった。そのタイミングが遅れた日本は、アメリカから「卑怯者」と言われ徹底的に悪者にされたが、現代の戦争はもはや宣戦布告を必要としなくなったのだろうか。それともこれは「戦争」ではないのか。今回の攻撃の目標について、アメリカは①イランのミサイル能力の破壊、②海軍の殲滅、③核兵器保有をさせないこと、④政権によるテロ組織支援を止めることだと説明している。かつての戦争のように相手を降伏させて自国の言うことを聞かせるというものではなくなっているのだろう。それでも体制転換を目指しているようであるから同じことなのかもしれない。

 それにしてもベネズエラの大統領を軍事作戦によって拉致し、今度は核を巡る交渉中にもかかわらず攻撃を行いと、アメリカは好きなように振舞っている感がある。同じことをロシアや中国がやっていたら、アメリカは烈火のごとく声を上げ、経済制裁を呼び掛けていただろうと思う。西側諸国も内心苦虫を嚙みつぶしながら当たり障りのないコメントをしているようだし、高市総理も慎重にコメントをしてアメリカを非難することは避けている。同盟国だから庇うのか、アメリカだから何も言えないのか、おそらくその両方なのだろう。それでいいのだろうかと疑問に思う。アメリカなら何をやっても許されるのか。

 力のある者が力にモノを言わせて己の言い分を通すというのは、もっとも原始的な問題解決である。動物では外から来たオスが群れのリーダーにチャレンジして勝てばその群れの新たなリーダーになれるというものがある。先日横目で見ていたカバについての番組でやっていたが、カバはそういう習性があるようである。もちろん、負ければ群れにも入れずすごすごと去っていくしかない。あるいはリーダーに対して恭順な姿勢を示すというのがあり、そうすると群れに迎え入れてくれるのだとか。番組ではリーダーに負けたカバが恭順を示して群れに入れてもらうシーンをやっていた。

 アメリカがやっている事と同じである。まぁ、人間もカバ同様の生物であり、同じであっても不思議ではない。ただ、アメリカは群れを守るというより、すべてを従えることが最終目標なのではないかと思うくらいである(おそらくそうなのであろう)。今、世の中では多様性ということがしきりに言われている。昔は毛嫌いされていた者もLGBTと称され権利を認められている。しかし、国際社会では話が異なり、それは共産主義や社会主義には当てはまらず、民主主義でもアメリカに逆らうものは許されないという感じである。どの国にも生存権があり、それは互いに尊重されるべきものであるが、(少なくともアメリカは)そうではない。

 なぜ、互いに譲り合うことができないのだろうか。今回、攻撃にイスラエルが加わっているのも象徴的で、イランの核兵器開発はそのターゲットの第一は間違いなくイスラエルであるだろうし、イランはヒズボラを始めとして反イスラエル勢力を支援しているようであるから、イスラエルも自国防衛という意味で便乗したのだろう。中東紛争は憎しみの連鎖で根が深いが、どこかで共存というものが図れないものだろうかと思う。殺し合いを続けてどちらかが敗れなければ共存が図れないというのはあまりにも寂しい。動物は同じ種では殺し合わないようだし、それが生物の本能なのであるなら、人類はそれに反していることになる。

 我が国としては見て見ぬふりしかできないのだろうが、既に「戦費10億ドル突破か 米経済損失33兆円規模の恐れ」という報道(FORBES)も出ている。これは後日、また高額な武器を買えとか、何らかの形でわが国に請求書が回ってきそうな気がする。アメリカの軍事産業もまだまだ大儲けできるのだろうと思う。きっとウハウハしているに違いない。人類に互いに譲り合って生きるという英知は働かないのだろうか。地球上でもっとも賢い生物がもっとも愚かな行動をしているというのが何とも言えずに残念であると思うのである・・・


HUNG QUACHによるPixabayからの画像

【本日の読書】

 全体主義の起原2 新版――帝国主義 全体主義の起原 新版 - ハンナ・アーレント, 大島通義, 大島かおり  誤解を招いたとしたら申し訳ない 政治の言葉/言葉の政治 (講談社選書メチエ) - 藤川直也  ウロボロスの環 (集英社文芸単行本) - 小池真理子  万物の黎明~人類史を根本からくつがえす~ - デヴィッド・グレーバー, デヴィッド・ウェングロウ, 酒井 隆史




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