日本経済新聞2026年4月22日
東京都は22日、都内の中小企業を対象にした「パートタイマーに関する実態調査」の結果を公表した。パートの69.6%が正社員との間に不合理な待遇差があると感じていることが分かった。2021年度調査(69.2%)からほぼ横ばいで、改善が進まない状況が明らかになった。
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日経新聞のニュースであるが、一見そのまま読み流してしまいそうな内容であったが、何となく引っ掛かりを覚えて目がとまった。今は「同一労働同一賃金」というのが原則として認識されている。しかし、実態はなかなか原則通りにはいかず、ニュースによると、パートが待遇差を感じる点は賞与(51.6%)が最も多く、退職金(33.8%)、基本給(28.3%)という順になっているそうである。さらに正社員と同等の通勤手当や昇給制度を設けている事業所が半数以上ある一方、退職金や役職手当を正社員のみとする事業所は7割を超えたという。
ニュースの雰囲気からすると、待遇差は改善されなければならないという論調である。それについて反対するわけではないが、何となく違和感のようなものは残る。例えばよくスーパーなどで「パート募集」という張り紙を見たことがある。大抵、「時給◯◯円」などと表示されている。それに応募する人は、大体の仕事内容と時給の金額を頭に入れて、その上で応募してくるわけである。その時点で、その同じ仕事を正社員がいくらもらってやっているかなど知らないだろう。そしてその条件に本人が納得した上で働いているわけであり、そのどこに問題があるのだろうか。
日本には職業選択の自由があり、「嫌なら辞めればいい」のである。企業は正社員ではなく、時給で働く人を募集しているわけであり、応募する人がいなければ募集条件を変えて募集することになる。時給を上げたり、あるいはパートでは集まらないと思えば正社員を募集する。そうした中で双方の思惑が合致して雇用契約が成立しているわけであるから、本来そこには何の問題もないはずである。また、応募者側でも正社員として働きたければそういう条件の仕事を探せばいいわけで、無理にパートで働く必要はない。パートで働くということは、「フルタイムで働きたくない」という考えがあるからではないのだろうか。
そうすると、そもそも「正社員との間に不合理な待遇差」があるのは当然とも言える。否、そもそも「不合理な」と言えるのだろうかとも思う。正社員からすれば、初めからフルタイムで働くという意思と覚悟を持って就職しているわけであり、一緒にするのがそもそも「不合理」のように思える。「パートタイマーに関する実態調査」が具体的にどのようなケースについてなのか非常に興味深いが、「正社員と同じ仕事をしているのに」待遇に差があるという事が前提になっているのだと思われる(そうでなければ「待遇差」は当然である)。ただ、本当に同じなのだろうかと思う。
例えば我が社の経理スタッフはみんなほとんど同じ仕事をしているが、正社員間でも給料は同じではない。「主任」とそれ以下の「一般」とでは当然、基本給も賞与も違う。パートに賞与はあるが、金額は「寸志」のレベルである。それでも何度かの誘いにも関わらず、パートさんは正社員になりたいと言わない。家庭の事情からパートとしての働き方を選択しているのである。もちろん、やっている事は正社員とほとんど同じである。会社としてもそれはそれでその意思を尊重している。もちろん、我が社もパートに退職金制度はない(貢献度を考慮して「寸志」は出すかもしれない)。
少なくとも、我が社に限って言えば、「パートタイマーに関する実態調査」が来て調べたとしても、パートと正社員の間に「賞与」「退職金」「基本給(時給ベースでは一部正社員より単価は高い)」の間に待遇差はあるが、「不合理」ではないはずである。仮に客観的に見て「不合理」であると判定されようと、当のパートはそれを「不満」には思っていないはずである。とすればそこには何も問題がないことになる。百歩譲って不合理な待遇差が嫌なら辞めて別の正社員の仕事を探せば良いのである。
私の場合、すでに還暦を過ぎており、今の仕事を辞めて他の仕事を探しても今の年収はほとんど見込めないと思う。それは市場原理としてやむを得ない事であり、「不合理な待遇差」でも何でもない。その人がいくら正社員でこれだけの収入が欲しいと言っても、市場で受け入れられなければそれまでである。不合理な待遇差を嘆いても、それを受け入れるしかないのであれば仕方のない事である。どうも世の中の考え方には違和感しか抱けない所以である。私も、今の仕事でしっかり成果を挙げてクビにならないようにしたいと思うのである・・・

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