健康診断を受けたが、なんと3項目で「要再検査」とされてしまった。ご丁寧に紹介状も3通送られてきた。実に手厚く手回しがいい。便潜血はもう毎年要再検査であり、昨年と今年内視鏡検査を受けて異常なしだったので、もう慣れっこである。腸は何かあっても時間がかかるので、2年に1度内視鏡検査を受けていれば大丈夫とは再検査を受けた専門医のお話。したがって無視する事にした。そのうち初めて指摘されたのが「肺の影」。肺の影と聞くと、すぐに肺がんをイメージする。さすがにこれは急いで再検査を受けに行った。
職場近くの総合病院に予約を取り、さっそく向かう。最近では総合病院に紹介状なしで行くとそれだけでお金を取られる(この病院は7,000円)。混雑緩和と町医者の支援等の意味合いがあるのだろう。初診受付で診察カードを作成する。今はどこの病院もこのカードを使って受付や支払いを行うようになっている。人手不足の解消にも役立っているのだろう。そして再検査のCT検査の結果、肺の影は薄れていて癌ではないだろうという事になった。一応、念のために2か月後に追加検査して様子を見ましょうとなった。
実は検診で指摘されて以来、一応タバコは「休煙」している。私も「自分は大丈夫」という根拠のない自惚れをするほど愚かではない。年齢的には気がつかないところで細胞レベルの劣化が進んでいる事だろうし、そういう考えもあって万が一に備えて休煙する事にしたのである。そうして診察に臨んだが、担当医からは案の定、禁煙を勧められた。最初の問診でタバコの履歴を詳しく聞かれた。それこそ17歳の時に遡ってである(回答はうやむやにしたが・・・)。長い休煙期間を経て再開したのが4年前である。
再開したと言っても、健康意識はあるし、何より世の中は30年前よりタバコを吸い難くなっている。社内も禁煙であり、道路も歩きタバコは良識的に控えたい。結果、会社から歩いて3分の喫煙所に通っている。その結果、吸いたくても「わざわざ」吸いに行くのが大変で、喫煙本数も1日数本になっている。言ってみればライトスモーカーであり、健康的にも問題ないと考えていた。診察していただいた担当医の「今も吸っていますか?」という質問に、「今回の結果が出るまで休煙中です」と回答したところ、案の定、禁煙を勧めてくる。
まぁ、医者というものはとにかく禁煙しろと言うものだろう。「タバコは百害あって一利なし」と言ってくる。しかしながら、私からすれば「一利なし」とは言えない。現に私が再開したのは、それまで傾いた会社を立て直し、これからさらに業務を拡大しようとしていたところでいきなり社長に会社を売ると言われ、退職を要求された時期である。自分では何もせずに見ていただけなのに(まぁ私に全権を預けるという決断はしてくれた)、会社が立ち直って価値を生み出したところで「引退するから会社を売る」と言われて頭にきていた時である。
怒りとその後どうするかという不安。住宅ローンは残っているし、息子はこれからまだまだ教育資金がかかる。そんなストレスの中でタバコが吸いたくなったのである。バカバカ吸っている人にとってはどうかはかわらないが、私の場合は吸うときは歩きタバコなどせずきちんと味わって吸う。紫煙を燻らせる瞬間、神経が弛緩してリラックスできる。要はストレス緩和である。少なくともそれは間違いのない効果であり、「一利」である。リラックス効果は人によって違う。そのリラックス効果は間違いだとは他人に言うことはできない。
人によってはそれが酒だったりするのかもしれない。ドラマかもしれないし、ケーキかもしれない。何でもそうだが、過剰摂取はなんであれよくないが、適度であれば問題はないだろう。しかし、担当医は「1本でもダメ」と言う。それが医学的に正しい答えである事は素人でもわかる。ただし、ヘビースモーカーがすべて癌になるわけではないし、タバコを吸わなければ癌にならないわけではない。人それぞれの体質次第だろう。私がどうかはわからないが、実際に悪くならない限りは「1本でもダメ」とは言い切れないというのが私の考えである。
医者としては「1本でもダメ」と言っておけば間違いはないのだろうが、そういう「全部ダメ」スタイルだともう意見を聞こうとは思わなくなる。担当医と話ながら、議論しても無駄と感じた。私にとってはリラックス効果もバカにできないところがある。健康第一であるが、だからと言って禁欲生活をしてまでとは思わない。そのあたりのバランスを考えたいと思うが、医師が相談相手にならない以上、自己判断でやるしかない。どうしてもこの手の「〇か×」思考に嫌気がさす。
もしも担当医が「1日数本に抑え、3カ月に1度検査を受けながら吸ってみたら」と言うのであれば、私はその医者を心から信頼するだろう。まぁ、CT検査は時間も取られるし、費用も取られるからそう言われても実際は面倒である。ただ、「〇か×」思考の医師よりも信頼できるという話である。医学的に正しい事を言うだけでなく、患者の言い分を聞いて、そこに一定の気持ちを認め、ではどうしましょうと一緒に考えてくれる医師であれば大いに信頼したい。再検査で医師と話しながらそんな事を考えた。
医者としては一々そんな手間暇などかけていられないのだろうとは思うが、今回の対応を通じて理想の医者ってどんな人なのだろうと考えたのである・・・
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AlexaによるPixabayからの画像 |



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