2021年1月6日BBC NEWS
世界保健機関(WHO)は5日、今月に中国・武漢市で予定していた新型コロナウイルスの感染症COVID-19の発生源調査について、調査チームが中国への入国を拒否されていると明らかにした。WHOによると、調査チームのうち2人はすでに、5日早朝に中国に向けて出発していた。ロイター通信はWHOの緊急対応責任者マイク・ライアン博士の話として、1人は引き返し、もう1人は第3国でトランジット中だと報じた。WHOは、入国に必要なビザの手続きに不備があったと説明した。数カ月にわたるWHOとの交渉の末、中国は長く待ち望まれていた新型ウイルスの発生源調査に同意していた。************************************************************************************
上記のニュースは新聞の一面に掲載されていたのをチラッと見た記憶がある。新聞の論調でいくと、中国がWHOの調査に難色を示しているかのような印象を受ける。その後、結局調査チームは武漢入りしたと今日のニュースで報じられていたが、これに関しては、先日かねてから親交のある東洋学園大学の教授のお話しを伺う機会があった。それによると、実際はちょっとニュアンスが異なるようである。
お話によると、中国側は受け入れ自体は認めており、問題は「隔離期間」だったという。中国内では既にコロナは収束に向かっており、怖いのは海外からの流入。そのため入国者には一定の隔離期間を設けているが、WHOはこれを緩和しろと要求し、中国が拒否しているのが実態だとか。そうなると、ちょっとニュースのニュアンスも違ってくる。中国側の言い分もある意味もっともだからである。
ここで疑問に思うのは、「ホントかな」ということと、「裏取りしないのかな」ということ。マスコミであれば、こうした場合、WHOの発表だけを鵜呑みにせず、中国側に確認をすべきだと思うが、そんな形跡は少なくともニュースでは見当たらない。そんな価値もないと判断したのかもしれないが、一応一方方向の報道だけではなく、両サイドから取材するのが報道機関のあり方だと思えてならない。
実はこの手の話は過去に何度も伺っている。「犯人は中国風の男で・・・」と報道されたり(というといかにも悪人らしく聞こえる)、大きなところでは2011年に尖閣諸島で起きた漁船衝突事件の報道もあった(いかにも漁船だけが悪いように報じられた)。闇雲に擁護するつもりなどサラサラないが、漁船衝突事件は冷静に考えれば中国側の主張も頷けるところがあり、日本のマスコミの報道だけを鵜呑みにするわけにはいかないと感じたところである。
日常生活でも相手の真意を測りかねることはよくあること。会社でも議論をしてみると相手はこちらが予想もしなかったことを考えていたということはよくある。よって、何か相手に意見を言う時には、十分相手の言い分を聞くようにしている。仕事においては、行動面での改善を要求することがあるが、相手には相手の理屈があってそういう行動を取っているわけである。それを聞いた上でないと批判は難しい。
しかし、相手の言い分がわかったとしても、ではこちらの意見を変えられるかというとそうでもなかったりする。それは正誤の問題ではなく、「見解の違い」「立場の違い」であったりするからである。会社内でよくあるのは、「個人の立場の意見」と「全社的な立場からの意見」の違い。両者は異なってくることがしばしばある。個人レベルでは非効率であっても、会社レベルでは必要だったりすることはあるからである。
そうなると、個人の納得感を得るのは難しかったりする。会社側の都合を理解してくれればいいのだが、そうでなかったりする場合もあるからである。ただ、それはもう仕方がないことであるが、ただ、それでも相手の考えを知っているのと知らないのとでは大きく異なる。意見は変えられなくても、それなりの配慮はできるからである。そしてそれは、人間関係を良好に保つには必要な事だと思う。
同じ景色を見ていても、相手が見ている景色は自分の見ているものと同じではない。それは面白いくらいである。それは同じ人間でも育ってきたり働いてきた環境や読んだ本や人の影響なんかもあって1人1人の人格があるわけで、違うのも当然だと言えるのだろう。野球を見ていて微妙なプレーがあると、贔屓チームに有利に見えてしまう傾向なんかもあるようだし、それを嘆いてみても仕方のないことなのだろう。
それは「そういうものだ」と思って行動するしかない。マスコミのニュースは初めから疑ってかかる、人の意見は自分と違って当然と思ってかかる。そういうスタンスが必要なのだと思う。韓国はともかく、中国に関しては特にマスコミのニュースをそのまま真に受けるのは回避して冷静に接したいと思う。「相手の見ている景色」が違うことは、しっかりと意識したいと思うのである・・・
Joëlle OrtetによるPixabayからの画像 |
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