先日から中国に関する専門家2人の意見を目にする機会があった。個人的に抱えていたイメージと異なっており意外な気もしたが、言われてみれば不思議なことではなく、その通りなのだろうと思う。それによると、極めて近い将来、中国が世界一の国になるというのである。
1人の方からは、現在の中国の変化を教えていただいた。既に一部の地域で自動運転が実現している。路線バスのようであったが、日本ではまだ実現の兆候のかけらすら見られないのに、である。自動運転はゆりかもめの例を見るまでもなく、当面は鉄道に限られるという意見を聞いたことがあるが、自動車の中では路線バスはなどが一番早いのだろうと思う。それがもう中国では実現している。
さらには自動配送。これは大学のキャンパス内のようであったが、ロボットが荷物を学生の近くまで配達していた。まだ一般の地域には至っていないが、限られた範囲内ではもう普通に実現している。これはなかなか衝撃的である。中国版YouTube微博でその様子が見られる。
后疫情时代,逆势爆发... - @竹内亮导演 的视频 - 视频 - 微博210102
GDPでは既に中国は日本を抜いて世界第二位になっている。日本人としては心中穏やかならぬところがあるが、まだ「一人当たりGDPでは日本の方が上」という支えがある。日本の方がまだ豊かであるという安ど感である。ところがこれは、中国では農村部が遅れているために全体の足を引っ張っているものであり、既に都市部ではかなり差が縮まっているらしい。今後、農村部が伸びてくれば2040年頃には一人当たりGDPでも抜かれるだろうと予想されている。
中国と言えば「安かろう悪かろう」というイメージがこびりついているが、今も日本国内の製品の多くがメイド・イン・チャイナであることを鑑みれば、日本製品と遜色ないレベルになってきているのだろう。世界の大学院ランキングで世界第一位は清華大学だという。これに対し東大は100位に入っていないというからこの差は大きすぎる。アメリカを抜いてGDP世界一になるのも既に視野に入っているようであり、メイド・イン・チャイナが高品質の証になる日も近いのかもしれない。
中国では、国民に配慮することなく何でも政府が実行に移せるところが強みだろう。プライバシーも何も関係なく、自動運転のバスを見るまでもなく、実験もどんどん行える。アメリカの大学に留学する中国人も日本人とは桁が違うし、それは勉強云々だけではなく、人脈という意味の強みにもなり、日本人が一生懸命弱みを探しても虚しそうである。そうなるとアメリカ頼みというのも危うい。
また、アメリカの高性能・高額な空母も、中国の安価な高性能ドローンの攻撃リスクにさらされるというし、そうなるとアメリカの軍事的優位も危うくなる。それはすなわちち我が国にしてみれば、尖閣諸島は大丈夫かと不安になる。朱健栄教授によると、それは大丈夫らしい。国際協調の中、中国もそうした暴挙には出られないという。経済制裁をされれば中国も困るというのだが、GDP世界一になった時に果たして経済制裁ができるのかと想像すると、どうも安心感は抱けない。
野口悠紀雄教授によると、そもそも歴史的にずっと中国は世界一の国家であり、「没落」したのは近代の何十年かだと言う。そういう意味では「世界一奪回」であるわけであるが、歴史上ずっと物理的な距離が縮まった現代で、経済・軍事で世界一となった中国はなかなかの脅威になるような不安がある。とは言え、現代ではかつてのように戦争の脅威があるわけではないし、軍事面での心配はないのかもしれない。
また、経済的に豊かになった中国人は、そのうち出稼ぎにも出なくなるだろうと野口教授は予測する。そうなると、今日本は事実上移民受け入れに舵を切っているが、その主力となる中国人がいなくなると外国人労働者も増えないという可能性もあるという。労働力が足りないなら外国人を入れよと単純に言えなくなるというのである。これもその通りに思える。
これから子供達が成長していく世界はどんな景色になっているのだろうか。少子高齢化が進み、それだけでも大変だと言っている我が国が、世界一となった中国の隣でどんな国になって行くのだろうか。想像力の乏しい我が身にはわからないが、それでもいつまでも中国は格下というような意識は捨て、中国の進化を偏見のない目で見ていきたいと思うのである・・・
HYUNGNAM PARKによるPixabayからの画像 |
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