2017年8月6日日曜日

買うか借りるか

家については以前から「持ち家」か「賃貸」かの議論がなされている。私自身は迷うことなく「持ち家」を選んだが、「賃貸」派の意見も根強いわけで、それはそれで人それぞれだからいいのであるが、自分の考えというのも一度まとめてみたいと思う。

先日読んだ『宝くじで1億円当たった人の末路』という本にこの議論が出ていた。本自体、タイトルと中身が一貫していなくて無茶苦茶なのだが、所々に目が止まったところがあって、その1つがこの議論。ただし、「賃貸」派に立つこの本の主張は、根本を外していて議論をする上で参考にはならない。

この本では、持ち家のリスクとして、主に以下の3点を挙げている。
 1.        収入減によりローンの返済が困難になる
 2.        災害により家を失えば二重ローンとなる
 3.        高齢者は家を借りられないという指摘はあてはまらない
確かに一理はあると思う。「1」については、なるべく自己資金を用意してゆとりを持って返済計画を立てるのが筋なのだが、無理をすれば確かにリスクは高くなる。ただ、「2」は確率的に考えれば笑止。ローンを組んだ人全体の中で、二重ローンになる確率がどのくらいなのかを考えれば比較にはならないが、それでもゼロでないというなら確かにその通り。「3」は「選り好みをしなければ」借りられないことはない事はないのでその通り。

上記のリスクを理由に「賃貸」を選ぶのなら、それは1つの考え方である。それはともかくとして、自分としては「資産」と「費用」の違いが大きいと考える。「持ち家」は資産であり、ローンは完済すれば支払いはなくなり、家は資産として(たとえ含み損があったとしても)後に残る。一方で、「家賃」は消失してしまう「費用」である。後には何も残らず、そして利用する限り費用は永遠に発生する。その違いはローンの完済後に現れる。

例えば、年収700万円の2人のサラリーマンがいて、一方は35年ローンを組んで30歳の時に家を買い、一方は賃貸を選んだとする。持ち家サラリーマンのローンの支払いはボーナス返済も含めて年間216万円。賃貸サラリーマンの家賃は月18万円で同じく年間216万円だとする。固定資産税だとか更新料だとかは省略する。ともに65歳で定年退職し、退職金も含めて3,000万円の預金が残ったとする。ともに同じように生活して来たとしても、2人の違いはこの後に現れる。

持ち家サラリーマンは、ローンの返済が終わり、年間216万円の支払いから解放される。3,000万円の預金と年金とで、旅行に行ったり美味しいものを食べに行ったりの生活だ。一方の賃貸サラリーマンは、収入は年金のみとなるが、家賃の18万円はそのままだ。もちろん、安い家賃の家に引っ越すという選択肢はあるが、預金と年金の一部は確実に家賃に当てられる。そして支払いに期限はない。持ち家も家の老朽化は確実で、リフォームに費用を費やさなければならないのは事実だが、金額は限られている。

あくまでもどちらが優れているかという話ではなく、どちらが好みかという問題でしかない。私としては、たくさんもらえるならともかく、今なら不安要素満載の年金やいくら貯められるかわからない預金をあてにするようなリスクは取りたくない。リフォームなんて雨露さえしのげれば我慢するという選択肢もある。リスクを取るなら、年金生活に入ってからよりも、それに耐えられる若い頃に取りたいと思う。

かつて知人とこの話をした時、賃貸派のその知人は、家を買わない理由として「実家」を挙げた。いずれ自分が住むので家はいらないと。それも1つの考え方である。ただ、私であればやはり「資産」に目を向ける。実家に入る時には、それまでの家は賃貸に出せば家賃を得られる(もちろんローン返済後だが)し、売ればまとまったお金が手に入る(これもローン返済後、残債があればの話だが)。「買って損はない」と判断して買うだろう。

賃貸であれば、飽きたら頻繁に引越せるし、家を移り変われる自由度はあるだろう。何を選ぶかは考え方次第だし、その人それぞれ正解は異なる。自分はどちらかとなった時、いろいろな意見に耳を傾けて自分にあった判断をするしかない。そんな時、持ち家を選んだ人の1つの意見として参考になるものは持っていたいと思う。私の場合は、「老後リスクの回避」ということに集約される。

いずれ我が家の2人の子供も考えるかもしれないし、その時にこの考え方を伝えてあげたいと思うのである・・・






【今週の読書】
  
     

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