私は会社では「CFO」という肩書きをもらっている。前期から社長の意向で我が社も社長がCEOであり、私がCFO、他にCSOとCGOがいる。何もカッコつけてアルファベットにしているわけではない。その前は「取締役」であったが(今も法的には取締役である)、取締役だと「経営全般」ということになり、個々の取締役の役割が曖昧になるという欠点がある。そこで役割を明確化しようということになったのである。同じ取締役でも互いに役割がある。「財務担当取締役」でもいいのであるが、「CFO」の方がシンプルというわけである。
その私が担当する「財務」であるが、しばしば「経理」と混同される。両者は同じようでいて微妙に異なる。「経理」は日々の資金管理である。使ったお金を記録し、それを使途ごとに仕分けして整理したものが最終的に決算書となる。日々の記録であり、「事実」であると言える。「財務」は最終的な決算に向けて決算書を作っていくものとなる。いつどのタイミングで何にお金を使い、そのお金をどう調達するか、そして最終的にどんな決算書に仕上げるか。それはそのまま翌期の資金調達に影響する。
私は元々銀行員ということもあって、決算書は見慣れている。そしてどんな決算書だとお金が借りられて、どんな決算書だと借りられないかもである。私が今の会社の紹介を受けたのも、前職で社長の裏切りによって他の社員もろとも会社を追い出され、一応社長も知り合いの会社を紹介してくれたものの、給料は減額となり、さらに3年後には定年でさらに給料半減という条件など飲めるわけもなく、知り合いに頼んで紹介してもらったのである。ちょうど経理部長の椅子が空いていたのである。
役割はそもそも経理部長であった。日々の記帳を確認して決算までを取り仕切る仕事である。実は銀行員は決算書は見ることができるが、実務である経理は苦手である事が大半である。両者は似て非なるものである。ただ、私の場合、元々企業の再建で経理を細かくチェックすることもあったので、割とすんなり入っていけたところがある。今でも専門の勉強はしていないが、簿記三級くらいならすぐ受かると思う。ただ、私の期待されていた役割は銀行との折衝で、主として資金調達であったから、そこは最初から意識していた。
期初に計画を立て、期末に向けてどういう決算になっていくのか計画を立てる。賞与資金を含めた運転資金の調達計画を立てて、銀行と交渉する。そのためには「借りやすい」決算にする必要があり、それに向けて資金を何に振り向けるかを決めていく。経理は日々の事実を記録していく仕事であるが(私は細かい作業が苦手なところもあって)、私は主にそれをチェックしている程度である。時に記帳科目の指示を出したりすることもあるが、計画通りに進んでいるかを見ているのである。
しかし、そこには限界もあって、それは結局のところ売上が計画通り進まなければどうにもならないというところである。いくら財務上の戦略をしっかり立てていても、売上が上がらなければすべて画餅に帰するのである。もちろん、売上とは関係のないところで、資金調達などで財務面の運用はできる。それはそれで重要な役割と言える。この財務の仕事は心底面白いと思う。もともとやりたいと思っていたわけではなく、何となく銀行に入れば将来何かあっても、どこかの経理部長で食っていると思ったが、もっと面白い世界があったのである。
中小企業では、経理と言えばおばちゃんがやっていて、社長がなんとなく財務的なところをやっているというところが(特に規模が小さくなるほど)多いと思う。しかし、ある程度の規模になれば、経理をきちんとやった上で、それをどう生かすかということが必要になってくる。今の仕事はずっと続けていきたいが、万が一追い出されたらそういう中小企業で役立てるのではないかと漠然と思う(個人的にはかなり役に立てると思う)。そういう事態は決して望んではいないが、別の会社の財務も見てみたいという気持ちはある。掛け持ちでもいいならやってみたいと思う。
天職と言えば大袈裟なような気がするが、面白い仕事であるのは間違いなく、70歳で引退するまで、続けていきたいと思うのである・・・


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