先日、転職者向けのイベントに参加した。我々も業容拡大のためには転職者の受け入れが必須である。転職者との面談は現場のリーダーにやってもらった。会社説明をし、相手の話を聞き、次につなげるかどうかを判断してもらったのである。事前に会社の方では説明用のあんちょこを用意した。いわゆるマニュアルである。現場のリーダーたちにはそのあんちょこを片手に熱心に対応してもらった。そうした姿には頼もしいものを感じたが、一方で何となくマニュアルが必要なのかなとも感じた。
マニュアルは便利な存在であり、その通りにやれば会社として統一の行動が取れる。やる方も自分で考えなくていいので楽である。ただ、転職者にとってみれば、そうした説明ももちろん大事だが、目の前の現場のリーダーが自分のやっている仕事について遣り甲斐や苦労を語った方が響くのではないかと思ったのである。リーダーであれば、そういう「語る言葉」をもってしかるべきだと思うし、持って欲しいと思う。初めてであれば参考にするものとしてある程度のマニュアルはあっていいと思うが、それをベースに自由にやってほしいというのが素直な私の気持であった。
自由というのは言葉の響きがいいし、私も好きである。しかしながら、時として自由は不自由でもある。ルールがあるから楽という事もある。法律があって規制があるから社会は安心・安全という事もある。自由といわれて自由に振る舞える人もいれば、型にはめてもらった方が楽だという人もいる。そこは理解できるが本当は規制されなくとも秩序を乱さないように自由に振る舞えるのが最上なのであるが、理想通りにはいかないのも事実である。線路をしっかりと引いてあげる事も必要なのかもしれない。
会社説明会でいつも思うのであるが、確かに自分たちの会社がどういう会社かというちょっとお堅い説明は必要だろうと思う。しかし、そこから具体的に実際に働く現場での語る言葉があれば説得力は増すように思う。それはお見合いの場で自己紹介をし、「趣味は映画です」と答えるのはいいが、そこから自分がいかに映画を愛しているかという事を語れれば、それはすなわちその人の魅力になるのではないかと思う(ただし、オタク趣味だと引かれる危険性は極めて高そうではあるが・・・)。
仕事に限れば、現場のリーダークラスの人材には、自分の仕事を魅力的に語れるようであってほしいと思う。そしてそのためには、嫌々ながら働いていたのでは言葉に説得力も生まれないだろうし、生き生きと働いてほしいと思う。世の中には仕事を楽しめる人と楽しめない人とがいる。私は楽しめる方なので、今の自分の仕事(財務・人事を含む総務)に来る人にならいろいろと語れるが、現場のエンジニアに関しては経験がないだけに難しい。楽しめていないリーダーには楽しめるヒントを与えられるといいのだが、そこがもどかしい。
最近はよく「自社の魅力」について考えている。グループ合わせて社員100名程度の規模の中小企業であると、大手のような福利厚生や給料などは難しい。しかしながら、「鶏口となるも牛後となるなかれ」と考える人にとっては、やる気次第で経営幹部になれる可能性は高く、単なる1つのネジに終わる事がないという点ではいいと思う。提案も通り安いし、実際、社員から提案のあったユニークな「休暇+報奨金」の制度も作ってしまった。そういう機動性も魅力ではないかと思う。
考えてみれば就職も恋愛も似たようなもので、相手を惹きつけるには自分に魅力がないといけない。外面だけ装ってみても、いずれメッキははがれる。人によって企業に求めるものはさまざまであるが、給料だけで比較されるとなかなか厳しい。だからそれ以外に何かPRできるものがほしい(もちろん、給料も大手との比較であり、中小との比較であれば見劣りするわけではない)。女性も「高給」だけで選択するわけではないであろう。最終的にはその人の人間性なのであろうし、企業も同じだろうと思う。
そうしたものをいかに作っていくか。恋愛でもさんざん苦労した身に何ができると思わなくもないが、幸い企業は複数人で考えられる。疑問を投げかけ、複数の頭を使って考える事ができる。そのあたりが救いだろうか。「いい会社とはどんな会社か」。このテーマはずっと追及していきたいと思うのである・・・
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Lothar DieterichによるPixabayからの画像 |
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