論語を読んで感じたこと。解釈ではなくあくまでも雑感
【原文】
互郷難與言童子見門人惑子曰與其進也不與其退也唯何甚人絜己以進與其絜也不保其往也
【読み下し】
互郷は與に言ひ難し。童子見ゆ。門人惑ふ。子曰く、其の進むに與する也、其の退くに與せ不る也。唯何ぞ甚しき。人己を絜くして以て進まば、其の絜きに與する也、其の往きたるを葆た不る也。
【訳】
互郷という村の人たちは、お話にならないほど風俗が悪かった。ところがその村の一少年が先師に入門をお願いして許されたので、門人たちは先師の真意を疑った。すると、先師はいわれた。
「せっかく道を求めてやって来たのだから、喜んで迎えてやって、退かないようにしてやりたいものだ。お前たちのように、そうむごいことをいうものではない。いったい、人が自分の身を清くしようと思って一歩前進して来たら、その清くしようとする気持を汲んでやればいいので、過去のことをいつまでも気にする必要はないのだ。」
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大学の頃、ラグビー部に所属していた私は、秋のシーズンともなれば1つでも多く勝ち星を挙げる事に専念していた。ラグビーは男同士がぶつかり合うスポーツであり、そこにはどうしても感情的なものがかなり入ってくる。ちょっとでもラフプレーがあったりすると、そのまま殴り合いになることもある。ただ、公式戦は勝たなければならない。下手にラフプレーをして退場にでもなればチームの勝利に影響する。とは言え、殴られたら殴り返せないようではもう気持ちで負けている。そこをどうコントロールするか、が難しかったりする。
大学レベルでも、一流のチームになるとそもそもラフプレーなどない。規律がしっかりしており、紳士のスポーツをきっちりやってくる(それでいて強い)。しかし、二流以下のチームはそんな事はない。感覚的に偏差値に反比例して荒っぽいプレーが多くなる感じもしていた。当時、同じ公式戦の対戦相手であった某大学も荒っぽいチームであった。公式戦だから変な事でチームには迷惑をかけられないが、荒っぽいプレーには正面から対抗しないと相手はますますつけ上がる。勢い、殴り合いになるリスクは高くなる。ある意味、「嫌な相手」であった。
ラグビーは試合が終わればノーサイド。しかし、そういう「お行儀の悪いチーム」とは仲良くしたいとは思わない。試合後の握手なんて笑顔でできないし、公式戦後に行われるアフターマッチ・ファンクション(要は懇親会みたいなもの)でもお互いに話をしたいとも思わない。互いに検討を称えあうなんてとてもではないができないチームであった。卒業してもう関わりあう事もないと思っていたが、何と就職した銀行のラグビー部にその大学の卒業生が入ってきた。私が真っ先に感じたのは嫌悪感である。
しかし、毎週一緒に練習し、時に試合にも出ているうちに彼の人となりもわかってきて、そうイメージするほど嫌な奴ではないことがわかってきた。当たり前だが、荒っぽいチームだからと言って全員がそうとは限らない。「朱に交われば」というところもあるかもしれない。いつしか彼に対する嫌悪感も消えていたのである。モンタギュー家の人間だからみんな嫌な奴なのであれば、ジュリエットはロミオに恋することもなかっただろう。所属している組織のイメージがそこに所属する人すべてに当てはまるというわけではない。
もちろん、所属する組織の特色によっては、そこに所属する人のイメージが当てはまるケースもある。例えば、「東大卒の人は頭がいい」、リクルート出身者は「進取・独立の気風がある」などはその一例である。もっとも、それはあくまでもその人の一部分であり、東大卒の人が頭のいいことは間違いがないが、だからと言って人格も優れているという事にはならない。あくまでもその人自身がどんな人なのかは、その人自身をよく見て判断するしかない。当たり前と言えば当たり前の事なのである。
しかし、そうは言っても人はイメージによって判断する傾向がある。部落差別などはその最たるもので、出身部落というイメージだけでそのメンバーを判断してしまう。荒っぽいチームに所属していたというだけで、紳士とは程遠い乱暴者と思ってしまう(まぁ、先の彼も「紳士」には程遠かったが・・・)。それゆえに、そういうイメージにとらわれず、その人自身を見て判断できる人は偏見のない立派な人物だとも言える。〇〇出身というだけで、人を判断しないようにしようと言うのは簡単。だが、実際は難しいから論語に出ているのだろう。
人はどうしても初対面であればなおさら、「〇〇の人間」という肩書でイメージを持ってしまう。それはある意味しかたのないこと。そのあと、そのイメージに引きずられることなく、しっかりその人となりを見極める必要があるのだろう。少なくともイメージだけで判断して結論を下してしまわないようにしないといけない。己の過去の体験を踏まえ、改めてそう思うのである・・・
🌸♡💙♡🌸 Julita 🌸♡💙♡🌸によるPixabayからの画像 |
【本日の読書】
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