2023年8月10日木曜日

スナック

 先週は夏休みであったが、ここ数年恒例となっている「温泉+墓参り+従兄弟との飲み」をまた今年も繰り返してきた。母親を連れての旅であり、「温泉+墓参り」は親孝行の意味が強い。個人的には1歳年上の従兄弟と飲むのが楽しみであった。母を交えて夕食を食べた後、従兄弟と2人で夜の街に繰り出す。長野県の佐久に住む従兄弟と行ったのは、とある田舎の駅近くにある従兄弟の行きつけのスナック。そこは昼は閑散とした寂しい田舎の駅前通りだが、夜ともなるとネオンが輝き出す。ずらりと並んだスナックの看板の灯る路地は、昔懐かしい昭和の香りが漂う。

 昨年、行ったスナックは残念ながら満席。昨年席についてくれた女の子(?)が、私の顔を覚えてくれていたのはちょっとした驚きであった。泣く泣く違う店へと行く。そこは私にとっては初めての店であるが、従兄弟は「顔」であった。あちこちに行きつけの店があるようで、一体、どれだけ通っているのかと思うほどである。席に着けば女の子(?)がボトルを出してきてくれて、つまみを置いてくれる。大概、つまみは乾き物なのであるが、奈良漬などの漬物も出してくれる。意外と美味しいのは、田舎だからだろうかと思ってみる。

 考えてみれば、若い頃はよくみんなでスナックに飲みに行ったものである。そこで飲んで歌っておしゃべりに興じる。女性陣も参加していたが、楽しいひと時であった。飲みに行くとなると、だいたいスナックだったと思う。そして考えてみれば、東京ではもう随分長いことスナックには行かなくなってしまった。年齢を経てくると、だんだん会社の仲間と飲みに行くのが億劫になってきたのと、大手町界隈にはスナックがなく(あったのかもしれないが目につかなかった)、行くのはもっぱら居酒屋であり、その後カラオケルームというパターンになっていった。

 そんなわけで、長野県の片田舎にある街のスナックは随分と懐かしい気がするのである。初めて行ったその店では、「女の子」と言っても孫がいそうなので年齢を聞くのも野暮というもので、ママなどは「この道50年」と豪語していた。最後に席についてくれたのは30代前半のようやく女の子と言える女性であった。従兄弟は酔いも手伝ってか、かつてファンであったというキャンディーズを熱唱。私も好きであったから、流れる映像もまた懐かしいものであった。「おじさんが好き」というその女の子は当然知らない。引退したのは生まれる前である。「おじさんが好きなら、覚えると人気が出るよ」と教えておいた。

 周りを見回せば、お客さんは白髪の「紳士」が多数を占めている。この道50年のママでもいいのだろう。1人で来ている人もいる。私もかつて行きつけの店を持って1人静かに飲みに行くのもいいかなと思ったが、今のところそんな行きつけの店ができそうな気はしない。家の近所でも探せばスナックぐらいはあると思うが、なんとなくいきなり1人で行くのには抵抗があるから、たぶんそんな店はできないような気もする。こうして夜な夜な飲み歩いている従兄弟がちょっと羨ましい気がした。

 楽しい時間はあっという間に終わり、お愛想となる。18,000円。焼酎ボトル1本と乾き物と漬物の飲み代にしては高いのもスナックならではだろう。そして従兄弟は代行で帰る。田舎は車社会。飲んだら帰りは代行が当たり前。そう言えば、若い頃はいつもタクシー帰りだった。終電の時間など気にもしなかった。結構散財できたのは、独身貴族だったことも大きい。今思い返してみても楽しかったと思う。この田舎町のスナックもまた来年、と思う。長野県は第二の故郷とだと思っている。来年もまた「里帰り」しようと思うのである・・・

user32212によるPixabayからの画像

【本日の読書】

  



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