転職して1ヶ月。なんでもありの総務部であるが、会社の将来を見据えた上で「人材育成」が必要であると考えている。技術的なことには手は出せないが、それ以外なら何かできるかもしれないと考えて色々と調べていたら、新人向けの教材を借りられることが判明した。取引銀行が提供しているサービスである。そこで早速、DVDを取り寄せた。それは「会社の常識・非常識」をテーマにしたものである。そこでは、新人と上司との「常識ギャップ」が採り上げられていた。
2時から会議と言われ、2時ぴったりに会議室の席に着く新人。それを見ていた上司は「せめて5分前には来い」と言う。「それならそうと言ってくれればいいのに」と思う新人。ここんな調子でいろいろな「会社(社会)の常識」が採り上げられる。そこで奇異に描かれるのは、「常識」を知らない新人たち。我々世代から見ると「今時の若い者は」と言いたくなる若者たち。いつの世も若者はおじさんたちの頭を抱えさせるものという姿。
どうして世の新人たちはこうも常識知らずなのだろうかと考えてみる。新人たちはそもそも会社の常識など知らずに入ってくる。おじさんたちにとっては「常識」であっても、それを知らない新人たちにとっては「常識」ではない。以前、イギリス王室に食事に招かれた外国の賓客がディナーの席でフィンガーボールの水を飲んでしまったと言う。女王はその賓客に恥をかかせないように自らフィンガーボールの水を飲んだというエピソードである。しかし、フィンガーボールを使う習慣(常識)のない外国人には何の水だかわからないだろう。そしてそれを「常識知らず」というのは間違いである。
新しい環境に入れば「常識」を知らないのも当たり前。みんなそこから教えられて「常識」が身に付いていくのである。今の世のその「常識」を支えているのは、かつての「新人類」である。ではどうするか。「常識」人であれば、非常識人である新人に面倒でも気がついたら教えるべきだろう。「休暇を取りなさい」と部長に指示された新人が忙しい年度末に休暇を取ろうとして上司に呆れられるが、そういう常識を知らなければそういうことになる。「今の若い者」はという前に、休暇はあらかじめ忙しい時期を避けて取るものだと教えるしかない。もっとも、ちょっと気が効く新人なら「いつ取ればいいのか」と聞くかもしれない。
新人からすれば、こうした「常識ギャップ」を乗り越えるためには、とにかく聞くしかない。コピーを取れと言われたら、「どのように取れば喜ばれますか」とでも聞いてみればいい。新人のうちはトンチンカンなことを聞いても大目に見てもらえる。それは新人ならではの免罪符である。始めは一々聞くのも気が重いかもしれない。それに対して必要なのはマメにコミュニケーションを取ることだろう。上の人に話しかけ難かったら、とにかく始めは挨拶からすればいい。1日に1回でも目を見て挨拶していれば、おじさんたちの方から話しかけてくるかもしれない。
DVDでは「報連相」も採り上げられていた。「報連相」は新人に限らず大事であるが、新人にとっても大事である。良くありがちなのが、「報連相」しようと思っているが、上司が忙しそうでついつい気後れして黙っている。DVDでは「3時までに仕上げろ」と言われていた資料作成で、新人くんがわからないことがあって手が止まり、3時を過ぎて上司から怒られるというシーンがあった。「わからないならなぜ聞かない」と怒られるのだが、新人くんの気持ちもよくわかる。
我々ぐらいのベテランになれば、相手の様子を伺って話しかけるというのは何の抵抗もない。緊急性が高ければ、忙しそうな相手でも「ちょっとすみません」と遠慮なく言える。だが、新人くんにはそういう感覚はわからない。私が上司であれば、3時になってできたかと聞くのではなく、途中で様子をチラ見しながら「わからないことはないか」ぐらいは聞くだろう。あるいは余裕のある資料ならわざと放置して様子を見るかもしれないが、そういうケースを除いては、やはり上司の方が気にかけるべきであろう。
それはさておき、新人のうちは報連相のタイミングなどわからなくても当然である。コツはとにかく怒られても気にせずに話しかけることに尽きる。そのうち聞くべき内容の重要度と相手の様子とのバランスを見て話しかけるタイミングをつかめるようになってくる。私からすれば、新人相手に怒る方がおかしいと思う。それと怒られたとしても、「怒られた」と取るのではなく、「教えてもらった」と捉えるメンタリティも必要だろう。
自分もそういうノウハウを教えられていたら、新人の頃の職場をもう少し気持ちよく過ごせていたと思う。まぁ、みんな自分の仕事が忙しかっただろうし、それで給料がもらえるわけでもないし、仕方がなかったのだろう。新人の研修も誰から言われたものではないが、会社の将来のためにはなるだろうし、自分の経験にもなるだろうから、半分楽しみながらやっているところもある。第2回目も予定しているので、今度はもう少しブラッシュアップしてやりたいと思う。
会社の将来を背負う新人たちに何か残せるものがあるといいなと思うのである・・・
Gerhard G.によるPixabayからの画像 |
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