映画館に映画を観に行くようになったのは、小学生になってからだと記憶している。
親に映画館へ連れて行ってもらうようになったのである。
といっても、観に行ったのは主に「東映まんが祭り」だった。
その頃は、これがけっこう楽しみなイベントだったのだ。
当時住んでいた武蔵小山には3つの映画館があった。
ちなみに「映画館のある街」というのが、その街を評価する私の中での大きなポイントだ。
3つの映画館のうち、1つが東映系、1つが東宝系、残りは日活ロマンポルノ系であった。
東映系には足しげく通った。東宝系は「ゴジラシリーズ」とかで、ちょっと背伸びが必要だった。日活系は高校3年の時に一度だけ行ったきりだったが、あの場末の雰囲気が今となっては何とも言えずに懐かしい。残念ながら、今では3館とも閉館してしまった。
大きくなるにつれ、親父が「○○ロードショー」、「○○洋画劇場」などの映画番組をいつも観ていた影響で、大人の映画も観るようになった。そして小学校6年の時に、渋谷にあったパンテオンという映画館に友達と『ジョーズ』を観に行ったのが、記念すべき字幕洋画デビューだった。以来映画館では419本の映画を観ている。
最もよく映画館に足を運んでいたのはやはり学生時代で、毎週必ず何か観に行っていた。
渋谷・新宿・吉祥寺が通学路にあり、便がよかったのだ。
初めは友達と連れ立って観に行っていたが、いつのまにか一人で観に行く事がほとんどになった。
誰彼憚る事なく、自分の好きな映画を観たかったからだ。
そして鑑賞後は、たっぷりと余韻に浸って映画館から出てきたものである。
007シリーズを観たあとは、すっかりジェームス・ボンドになりきっていた。
一人で観に行っていたのは、映画館を出た後に「ねぇ何食べる?」なんて現実に引き戻されたくはなかったからかもしれない。
当時は、どんなに混んでいても無理なく映画館で座れるコツを研究して会得していたものだ。
それが今や全席指定でそんな苦労をする事も、並んで待つこともなくなった。
座席も座り心地いい。傘やドリンク用のホルダーもあって気がきいている。
映画人口が減って、映画館のサービスも劇的に改善した。
それはそれで歓迎だ。
なのに最近はもっぱらビデオ派になってしまい、映画館に足を運ぶのはせいぜい月1回だ。
それでもやっぱりこれという映画は、映画館で観るようにしている。
場内が暗くなり、やがて最後のエンドクレジットが流れ終わって再び場内に明るさが戻るまでの至福の一時・・・
「あなたは何のために生きているのですか?」と問われたら、いくつもあるうちの一つに必ずこの至福の一時をあげるだろう。
愛するラグビーはもはや引退状態。
仕事には定年がある。
しかし映画館へ通う事は、もうろくするまでは続けられる。
願わくば、人生最後のぎりぎりまで映画館に通いたいと思うのである・・・
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