2009年1月14日水曜日

中国から見た日本2

朱建栄東洋学園大学教授の講座に出席した。
期待通りの内容であった。

日中両国の間に横たわる問題はやはり戦争の部分が大きい。
中国側の言い分もわからなくもないが、かといっていつまでも言われ続けるのもどうか。
そっちがいつまでも拘るのであればいつまでたっても友好などありえない、そんな考えを抱いていたものである。

しかしそう思う前に考えないといけない事がある。
第2次世界大戦は太平洋戦線でみると日本対米英中ソの図式である。
そして日本からすると対米英、対中、対ソと3つに分かれる。

人は「加害者意識」より「被害者意識」が残るものである。
そのためか日本人にとって「あの戦争」と言う時、それは「沖縄戦」「東京大空襲」「広島」「長崎」であり対米戦を指す。
加えるなら「シベリア抑留」の対ソ戦である。

しかし中国にとっての第2次世界大戦は「対日抵抗戦争」である。
したがって「あの戦争」といえば「対日戦争」に他ならない。
このギャップが大きいと朱教授は語る。

言われてみれば確かにそうだ。
つい最近自衛隊の航空幕僚長の「大東亜戦争は侵略戦争ではない」とする趣旨の論文が問題となった。対米戦争という観点からすると、平和な鎖国を黒船によって無理やり開国させられ、不平等条約を結ばされ、大恐慌下では列強のブロック経済からはじき出され、押し寄せる帝国主義の荒波から身を守るべくそのための資源を求めて大陸へ進出していった行為は「自衛戦争」と言えるものかもしれない。

しかし対中戦争という観点からすると、「中国国内で」「中国軍(国民党+共産党)と闘った」という事実からしてもそれは「侵略戦争」に他ならない。
ましてや日本軍は連戦連勝で国民党政府を奥地まで駆逐してしまったので尚更だ。
中国人に向って「侵略戦争ではない」などと言えば烈火のごとく怒るもの当然なのだ。

歴史上の事実は一つだ。
しかし光を当てるところが違うと同じものでも違って見えるもの。
要はいろいろな角度から(相手の立場から、そして第三者の立場から)見てみる事が必要だろうと思わされる。

アメリカは自国の利益を追求してドライに動く国だ。
日本と友好関係を結んでいるのも「アメリカ人が良い人」だからではなく、「それがアメリカの利益になるから」だ。
これからは日本もアメリカ一辺倒ではなく、すくなくともEU、中国という大国とバランスをとって付き合っていかないといけないはずだ。
そのためにも角度を変えてモノを見る事も学んでおかないといけない。
そんな事を考えさせられた講義であった・・・

  

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