最近、「創業社長」と「2代目社長」との違いを感じることが多い。人は誰でも育ってきた環境が大きくモノを言う。それは経営者たる社長にも当てはまる事であると感じるのである。創業社長は、自らがスタートとなって、事業を切り開いてきた人物。どうやって売上を上げるのかを考え、それが軌道に乗れば人を雇い、組織を作って事業を拡大していく。常に0からのスタートであり、創意工夫の日々であろう。だから何か問題があれば自分の意思でそれを解決し、壁を突破していこうという意欲がある。ところが、2代目(以降)となると、様相が変わる。
2代目が社長に就任した時には、既に事業が軌道に乗っている。組織化されて人もいる。現場、営業、経理、総務など組織が出来上がっていて、新たに作り上げる必要がない。基本的に部下に任せることになり、結果報告を受けて次の指示を出すということになる。いわば「前例踏襲」とでも言うべきものだろうか。そうなると、経営環境に恵まれていれば問題ないが、そうでなければ停滞感が出てくる。必要なのは変化であるが、それができれば業績も伸びていく。2代目、3代目で業績が伸びる企業はこのタイプである。
私の前職の不動産会社は、お金持ちの父親が息子のためにお金を出して人を集めて、最初は工事会社としてスタートした。最初の頃は父親も会長として経営に関与し、社員が働いて事業は順調であった。ところが父親が亡くなって会社は失速する。社長である息子は基本的に部下任せ。文系の息子は現場の事がわからず、営業もわからない。ボンボンとして苦労せずにサラリーマンをやっていたが、働く能力を身につけておらず、やがて会社の経営は傾き、9年間で7期赤字という状態であった。
そんな会社に高校の後輩として請われて入社し、私が1から経営を立て直した。自ら考えて事業の先頭に立っていかに売上を上げるかを考えて改善を繰り返したのである。結果、6年連続で増収、累積損失は一掃し、最終年度は最高益を達成した(そしていきなり会社を売却されクビになった)。別の知り合いの会社は、2代目社長は経理畑出身。されどやはり現場の事がわからない。どうやって売上を上げたらよいかわからず、売上が低迷する中、得意の経費削減で危機を乗り越えようとしている。
企業の成長は何をもって図るかとすれば、基本は売上だろう。売上が伸びることで企業は成長する。そして企業を成長させるのは誰の仕事かと考えると、それはやはり経営の仕事。実際に動くのは現場だとしても、それを導くのは経営である。経費削減も大事だが、一番重要なのは売上である。低迷しているのなら、それはなぜか、どうしたら突破できるのか、それを考えるのは経営である。ところが、自ら道を切り開いてこなかった2代目にはそれができない。部下を叱ってみても部下だって手を抜いているわけではない。やきもきしても売り上げは伸びない。
創業社長と2代目社長の違いがそんな例に当てはまると、会社は厳しい。現場がわからなければどうすれば良いのか。私自身の経験からすれば、社内にあっては社員と対話し、社外にあっては同業者に話を聞いたり、本を読んだりして自ら道を探っていくことだろう。率先して取引先を開拓することだっていいだろう。経理出身でもそれはできるはず。それが自らの得意分野にこもってしまったら、誰が会社を引っ張るのだろう。現場の部長とでも言うのだろうか。「社長の仕事」は部下を叱ることではない。いかに動かして売上を上げるかである。
よく観ている『カンブリア宮殿』では、父親から継いだ企業を大きく伸ばした2代目(あるいはそれ以降)の経営者が登場する。みんな自らが主体となってどのように売上を伸ばしていくかを必死に考え、そして部下を叱咤激励して導いている。どんと椅子に座っていて売上が伸びていくなら世話はない。自ら道を切り開いた創業者と並ぶためには、2代目もまた自ら道を切り開く気概がないといけない。それでなければ真の経営者とは言えないと思う。
私はこの先経営者になることはないと思う。されどそういう気概は常にもっておきたいと思う。そしてそれを生かせる場を得ていきたいと思うのである・・・
