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四万たむら |
関越自動車道渋川伊香保インターで高速を降りてひたすら田舎道を走る。この時期、暑くもなく、寒くもない。昨日まで降っていた雨もいつしかやみ、時折日もさしてくる。窓を開けて走ると気持ちがいいことこの上ない。「いいなぁ」と思うも、それは東京から来ているからであり、このあたりに住んだら風景にはすぐ飽きるだろうし、買い物にしても何にしても不便さばかりがあって堪らないのかもしれないと思ってみたりする。こういう田舎の風景は、故郷と同様、「遠きにありて思うもの」なのかもしれない。
そんな奥まった山の中に四万温泉はある。川沿いというのも温泉郷の特徴かもしれない。そうした四万温泉の「四万たむら」に宿を取る。室町時代創業というから相当な歴史がある。旅館の裏手には田村家の墓があり、代々受け継がれてきているのだろう。隣に四万グランドホテルがある。部屋に備え付けの浴衣には「四万グランドホテル」の刻印があり、どうやら経営は同じであると想像した。おそらく、室町時代創業の由緒あるレトロチックな温泉宿だけではなく、客層拡大のために現代的なホテルを建設したのかなと想像してみる。社員旅行華やかなりし時代にはさぞ賑わったのではないかと想像する。
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週末でも寂しい温泉街 |
したがって、部屋から風呂まで送り迎えをしないといけないという手間がある。食堂はいいが、風呂は一緒に入るわけにもいかないし、毎回悩ましい思いをする。今回、とうとう母は迷子になって館内電話でフロントを呼び出して迷子の訴えをしてしまった。普通の感覚ではなんでもないが、年を取るとみんなそうなるのだろうかと思ってみる。部屋も食事も7つの風呂も良かったが、個人的には硫黄臭漂う温泉が好きという事もあり、四万温泉はちょっと物足りなさがあった。この近辺では、今のところ万座温泉がベストである。
翌日、11時チェックアウトの利点を活かし、母は朝風呂に朝食を挟んで2度入り、温泉を満喫して宿を後にする。そのまま帰ると早すぎるので、近くの奥四万ダムを見学。川を堰き止めてできた人工湖をぐるりと一周する。水がきれいであり、晴天の下、あたりの新緑と相まっての眺めに自然の中で心身がリフレッシュしていく気がする。iPhoneで写真を撮るが、風景というものはどんなに高性能のカメラでも目で見たものを写し撮ることはできないものだと改めて思う。百聞は一見に如かずではないが、自然の景色は自分の目で見ないとダメである。
名残り惜しみながら四万を後にする。東京にはあっという間に帰ってくる。窓から流れ込んでくる空気は明らかに違う。手軽に往復できるし、毎週末行くという贅沢もしてみたいと思う。ネックは自分で運転すると(特に渋滞なんかがあったりすると)疲れるというところだろうか。海外旅行もいいが、週末は温泉で過ごすという贅沢もありかもしれないと思う。今後の人生の楽しみ方の一つとして候補に挙げたいと思うのである・・・
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新緑と濃いグリーンの湖水をたたえた人造湖 |
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下から眺めると迫力ある四万ダム |

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