仕事で採用を担当しているが(本業は財務なのだが)、求人の手法には苦労している。何せ売り手市場なのでなかなか採用に結びつかない。そんな我々の足元を見透かしてか、よく採用関係の業者から電話がかかってくる。ビズリーチ、デューダ、インディード等の大手からそれらを扱う中小まで様々である。しかし、基本的に我が社では「媒体」は利用していない。それには理由があって、過去にお金を払って利用したのに効果がなかったという経験があるからである。今利用しているのは、成果報酬の人材紹介である。
媒体の場合、基本的にお金を払って所定の求人サイトを利用する。採用できてもできなくてもお金は払う。一方、人材紹介会社は、基本的に成果報酬である。すなわち、紹介して「採用されたら」年収に応じて手数料を払うというものである。こちらは基本的に採用できなければ費用は発生しない。その代わり、発生したとするとその費用は「媒体」より割高なのであるが、確実性だけは間違いがない。割安である事よりも確実性を重視しているのである。
給料でも一定の高額になってくると成果報酬というところがある。給料は基本、企業の売上から支払われる。売上が充分あげられれば高額の給料も支払えるが、そうでなければ下手をすると赤字になる。したがって、高い給料を払うならその分、売上も上げてもらわないと困るというのは当然の理。外資系などでは多く採用されているようだが、特に金融機関などはビックリするような高給だったりする。その分、ハードなのだろうが、本人がいいのであればやりがいもあるのだろう。
M&Aなども基本的に成果報酬だ。売りたいという希望の企業の情報を買いたいという企業に紹介する。うまくマッチングして成約すれば手数料が発生する。それも基本的に1千万円単位の高額の手数料である。さらに細かく言えば、基本契約締結時に20%、決済時に残金と分けるパターンも多い。これは途中で破談になるのを防ぐとともに、破談になったとしてもそこまでの手間賃はもらおうというものだろう。高くても、その内容を考えれば仕方がないと言える。
給料が基本的に成果報酬になったらどうなるだろうか。ガムシャラに頑張る人は頑張るだろうし、成果が上げられない人は(薄給に)耐えきれなくなって辞めていくのかもしれない。かつてある外資系企業の人と一緒に働いたことがあるが、みんな2月の契約更改の時はドキドキしていた。その場で「契約しない」と言われれば、即時パソコンも使えなくなり、荷物をまとめて出ていかないといけないそうである。そのためかみんなよく働いていたし、よく勉強していたようである。そういうのも良いんじゃないかと漠然と思ったが、外資に転職を考えるまでには至らなかった(英語もそこまで出来なかったし・・・)。
給料が定額だと安心して働けるということはある。「今日は疲れたからもういいか」というのも自由である。成果報酬よりも金額的には少なくなるが、何より安心感というのはある。ボーナスも言ってみれば成果報酬的なところがある。業績連動にしている企業などはそうなるだろう。我が社も業績連動で総額が決まり、その配分は個人の評価によるので、成果報酬と言えなくもない。まぁ、まったく定額だと段々と成果も劣ってくるのが人間というものだろうからこのくらいは良いのかもしれない。
先の求人媒体も、基本的に最初に手数料を受け取って、「あとは頑張ってね」という感じだ。採用できてもできなくても手数料は戻ってこない。営業のセールストークも軽快であるが、「過去の成果」は紹介してくれるが、「未来の成果」は約束してくれない。こちらが求めるのは「成果」であるから、多少費用が高くとも、確実なる「成果」を求める立場としては求人媒体を利用する気にはなれない。もっとも、自社にもっと求人できる魅力があれば関係ないのであるから、なまじっか求人媒体だけが悪いとも言い切れない。
不思議な事に、自分が払う立場だと成果報酬が良いと思うが、もらう立場だと嫌だなと思う。それは「成果が挙げられなかった場合」を考えてしまうからで、払う方ももらう方も考えてみれば、この「成果が挙げられなかった場合」を考えるから良い悪いとなるわけである。成果が確実に挙げられるとわかれば、給料だって成果報酬の方が良いし、求人は媒体の方が良いとなるのである。突き詰めれば、成果を挙げられるかというリスクに行き着くわけである。
求人はともかく、今から成果報酬で働くかと問われたらどうだろうか。あまりお金のためにガムシャラに働きたくないというのは、還暦手前の年齢のせいと言えば言い訳になるのだろうか。それでもほどほどにもらいながら、成果は成果で全力で追求して行くというのが個人的には心地良い。そういうスタンスでしっかり働きたいと思うのである・・・
3D Animation Production CompanyによるPixabayからの画像 |
【本日の読書】
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