昔、年寄りはみな頑固で怒りっぽいというイメージを抱いていた。だが、自分もだんだんと歳を取るにつれ、それは違うのではないのかと思うようになってきた。というのも、最近よく電話で相手をやり込めることが多いのだが、周りからどうも「またか」という目で見られているようなのである。当の本人は、当然のことと考えているのだが、周りから見るとそうではないとすると、少し認識を改めないといけないのかもしれない。自分も怒りっぽいジジイになりつつあるのかもしれない。
先日、某通信社に対して電話をかけた。法人で利用しているサービスを解約しようと思ったのである。ところが電話応対に出た若い担当者がどうにも対応が悪い。こちらは法人として、社名、住所、電話番号を告げたが、それに加えて「届出の暗証番号」に「届出の担当者名」を聞いてきた。わかるわけもないのでその旨を伝えると、「ページが開けない」とのたまう。そんなの知るかと思って「調べてくれ」と言うが、何度も電話を保留にしてはできないと言う。
言葉遣いは丁寧だが、言葉の端々に揚げ足を取られまいとする心遣いが窺える。慇懃無礼とも言える。「上司に代われ」と要求したが、しばらく保留にした後「できない」との回答。請求は法人カード宛にきている。そこで、「この請求は何かという問い合わせを受けたらどうするのだ」と聞いてみた。対応は同じだと言う。「わからない相手に請求をするのか」と問うと、「請求をすると言うことは契約があるということ」と答える。「ならその契約を示せ」とこちらも迫る。
さらにこちらは「元々個人契約だったものを切り替えた」と情報を伝えると、「それはあり得ない」と答える。だが、現実に毎月請求は来ている。担当者は、念の為当該個人から電話をしてくれと要求してくる。なぜなら個人の契約のままの可能性があるから。「では法人契約か個人契約か調べてくれ」と問うと、「それは個人情報だから答えられない」と言う。ここで少しキレかかる(少しである。半分以上は呆れていた)。個人情報とは個人を特定する情報で、契約が法人か個人かを答えることのどこが個人情報だと担当者を詰める。
実は、これも良くある。個人情報保護の世の中はいいのだが、何かにつけて個人情報と言えばいいと思っている。挙句にこの担当者のように個人情報でないものまで個人情報と言い出す。「個人情報とは何か」をよく理解しないままわかったつもりになっているのである。挙句に私のフルネームを聞いてくる。なぜフルネームが必要なのかと問うと、どうやら記録に残す社内ルールらしい。「それこそ個人情報だ」と答えて回答は拒否した。
そんなやり取りが30分以上続き、若い担当者は「調べて回答する」ということになった。「いつまで」と問うと、「2〜3日」と答える。なぜそんなにかかるのかと問い詰めるも、「かかるのだ」と慇懃無礼に答える。ここに至り、部内どころか隣の部の人たちも耳ダンボになっているのを感じる。電話を切って、仕方なく社長に個人名で電話をするように依頼する。元々社長が個人契約していたサービスなのである。そして契約はあっさり解約できた。
そもそもコールセンターのようなところは、客の問題を解決するのが仕事である。自分達の都合を押し付けて、言葉尻を取られないように警戒しながら対応するものではない。件の担当者も答えに気づいていたわけである。個人契約から法人契約に切り替えることがあり得ないなら、その場で心当たりのある個人名を聞いて契約を調べてみればいいのである。そうしてヒットしたなら、「個人で契約が残っている、ついては本人でないと解約はできないので本人に電話してもらってくれ」と回答すればいいのである。こちらもそこまでわかれば確証を持って社長に依頼できる。それで問題は解決する。
件の担当者も若かったので、おそらく新入社員なのだろう(そうでなければ相当恥ずかしい)。そのように対応できたら余計なストレスも感じなかったはずである。今頃、私はクレーマーとして記憶されているのだろう。もう少し対応の仕方もあっただろうかと考えてみると、もう少し寛大な気持ちでいれば穏やかに接することもできたかもしれない。相手が自分の息子だと、そしてなれない仕事にあたふたしていると想像したら、もっと違う対応ができただろうと思えば反省の心も湧き起こってくる。
やっぱりそういう対応ができず、自分の正当性ばかり主張していると、怒りっぽいジジイになってしまうのかもしれない。自分はまだまだ若いと思うのはいいが、「まだ若いものには負けない」と言うのもジジイのイメージである。身はともかく、心までジジイにならぬようにしたい。次回からもっと意識しようと、改めて思うのである・・・
0 件のコメント:
コメントを投稿