2019年9月9日月曜日

ラグビーと「日本人」

いよいよラグビーワールドカップの開催が目前に迫って来た。「4年に一度じゃない一生に一度だ」というキャッチフレーズは至極である。世界ではオリンピック、サッカーのW杯と並んで「世界3大スポーツイベント」とされるラグビーW杯であるが、サッカーに比べると我が国でのラグビー人気はイマイチである。それでも長年プレーしてきた身としては、これほど面白いスポーツはなく、その最高峰のW杯が日本で開催されるのは誠にもって楽しみである。

そのW杯に出場する我らが日本代表のメンバー31人が発表されたが、その半分に当たる15人が「外国出身」の選手である。ラグビーをあまりよく知らない人からすると、これはどうにも不満の残ることのようである。「日本チームとは言えないじゃないか」とでもいう感覚なのであろうか。ただ、これは各国共通の国際ルールであり(日本が決めたわけではない)、ルールの中でやる以上、仕方がないことでもある。

ラグビーの場合、日本代表資格取得の条件が他の競技と違っており、次のようになっている。
1.   出生地が日本
2.   両親または祖父母のうち1人が日本出身
3.   日本に3年以上継続して居住している(2021年からは5年以上)
上記のいずれか一つをクリアしている必要がある。

 特に違和感の原因となるものが「3」の条件だろう。それでも一度どこかの国の代表になると、他の国での代表資格を失うので、そういう意味で外国出身選手にとって日本代表になるということは母国での代表資格を失うことになる。そういう覚悟を持っているということは確かである。それに各国代表も似たような状況で、前回のW杯で自国出身選手だけの純潔チームはアルゼンチンだけだったという。だが、それでも違和感は拭えないのだろう。

 ではハーフはどうかというと、多少違和感は緩むようである(今回の代表メンバーの中にもいる)。最近は世界で活躍する日本人にハーフの選手が目につくようになっている。テニスの大坂なおみ、陸上のケンブリッジ飛鳥、バスケットボールの八村塁・・・やっぱりスポーツともなると、外国人(特に黒人)の運動能力は日本人よりも優れているのだと思わざるを得ない。それゆえに、優れたDNAが半分入っているだけでも身体能力が優れる結果になるのかもしれない。ハーフでも半分日本人の血が入っているとなると、違和感は薄くなるところがあるようである。

 では、国籍ならどうであろうか。実は日本代表15人のうち、主将のリーチ・マイケル選手を含め6人が日本国籍保有者である(代表資格には関係ない)。それを聞くと、また多少違和感は少なくなるみたいである。最近は大相撲の白鵬も日本国籍を取得したとニュースでやっていたが、やはり国籍を取得するということは大きな決断であり、そうすると応援しやすくなるみたいである。いろいろ考えると、改めて「日本人」ってなんだろうと思ってしまう。

なぜラグビーの代表資格がこれほど緩いのか(特に「3)。一説によると、イギリス人がその昔世界各地に進出した際、現地の代表に入りやすくするためだったと言う。その真偽はよくわからないが、世界各国が共通ルールでやっている以上、それはそれで変な「日本人意識」は捨てて日本代表を応援したいと思う。それにしてもやっぱりラグビーというスポーツは、体と体のぶつかり合いであり、やはり体の大きな方が有利だということは否めない。特にフォワードにはそれが顕著であり、だから外国出身選手15人中10人がフォワードなのである。

日本人の平均身長と体重は、2629歳で171センチ69.5キロらしいが、例えばイギリス人は178センチ83.9キロらしい。同じ180センチでも母集団の平均が高ければそれだけ激しい競争を勝ち抜いてきての180センチなわけで、「体格的には負けていない」としても、やっぱりスキルも含めたトータルで負けてしまうのだろう。そういう事情を鑑みると、この代表資格の国際ルールは日本に有利に働いているのは事実だと思う。

 何れにしても、ラグビーそのものはどこのチームだろうと面白いし、そういう意味では今回は日本代表以外の試合もたくさん観たいと思っている。もちろん、我らが日本代表にも頑張って欲しいのは当然である。個人的にはあまり違和感もないし、みんな日本代表チームの一員として頑張って、そしてできれば決勝トーナメントでその勇姿を観たいと思う。そんなW杯日本大会を大いに楽しみにしたいと思うのである・・・




【今週の読書】
 
  
  
  

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