2018年12月27日木曜日

魂の老化は防げるか

実家の母親は81歳である。ここのところ長年使用している愛用のガラケーの調子が悪いとぼやいている。そこで私からこの機会にスマホにしたらと提案し、近々切り替える予定である。実はスマホにしたらということは、随分前から言っているのだが、やはり現代のデジタル機器を使いこなせるのかということに不安があるようで、ずっと躊躇していたのである。パソコンも使えない母ならまだしも、パソコンを使いこなす同じ年齢の父すらも「あと10年若かったら」と言って躊躇している。

そんな両親の反応を身近で見ていて、「歳を取る」とはそう言うものかと思っていた。しかしながら、母親とまったく同じ年齢の女性と会ってその考えは一変した。その方はパソコンを駆使して株式投資を行い、もちろんスマホも使いこなしていた。ちょっと郊外に住んでいるということもあって、毎日自らスクーターを駆って買い物に出掛けていた。我が母とは大違いであった。2人の違いは何だろうと考えてみると、やっぱり「考え方」だろうと思う。

「自分は年だから新しいことは覚えられない」と思ってしまったら、その時点で終わりである。よくよく比較して見れば、ガラケーとスマホでは、画面はスマホの方が大きいし、電話やメールという機能はボタンがないだけでそれほど違わない。実際のところ、初めて覚えるのにガラケーとスマホを比較したら、アプリをいろいろ使いこなそうとすれば別だが、基本機能だけならスマホの方がやりやすいと思う。要は「意識の差」だけだと思うのである。

歳を取れば記憶力が減退するのは、50代の我が身をもって痛切に感じているが、衰えるだけで覚えられないわけではない。現に80歳を超えていても、宅建などの資格試験に合格する人はいる。たとえ若い頃の半分しか覚えられなかったとしても、「半分は覚えられる」わけである。この考え方ができるかどうかだろう。自分には無理だと思えば無理だし、「あと10年若かったら」という人は、たとえ10年若くても同じセリフを吐くだろう。

それは高齢者だけに当てはまるものではなく、会社でも同じだと思う。創業直後のベンチャー企業はがむしゃらに新しいことに挑戦する。だから失敗はあったとしても、技術やビジネスモデルでブレイクスルーを起こす。一方、大企業は総じて反応が悪い。それは硬直的・官僚的な組織系統もあると思うが、私自身の経験でいけば、「なにもわざわざそんな事をしなくとも」という考え方だろう。新しいこと、ちょっと変わったことをやろうと思うと、組織の壁も厚く、根回しやらプレゼンやら手間暇がかかるので面倒だと思うのである。

そして本来、組織系統も大企業から比べるとずっと簡略で、はるかにスピーディーに動けるはずの中小企業でも、この「何もわざわざそんな事をしなくとも」という考え方に侵されていたりする。十分に儲かっている企業ならそれでいいかもしれないが、大半の中小企業はそんな余裕などないはずで、あらゆるところに収益機会を求めていくべきだと思う。ベンチャーはそういう点では「元気」なわけで、ベンチャーでない我々中小企業においても、そういう「元気」=スピリットが必要だろうと考えている。

よく物事は簡単な方と困難な方があるなら、困難な方を選ぶべきと言われるが、特に世の中で商売をして存続していこうとするなら猶更であると思う。簡単なことなら誰でもやれるし、そんなレッドオーシャンで得られる収益はわずかだろう。「あえて」「わざわざ」やってみる事が必要だろうと常々感じている。失敗したら大きな痛手を伴うなら慎重対応が求められるが、ちょっとしたチャレンジなら「とりあえずやってみる」感覚が必要だと思う。

我が社が営む賃貸業では、建物・設備の経年劣化は防ぐことはできないが、自分自身の魂の経年劣化はいくらでも防ぐことができる。
 この「敢えてやってみる」気持ちを常に持ち続けたいと思うのである・・・






【本日の読書】
 
 
 
 

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