契約社員の格差 一部違法 住居手当など 日本郵便に支給命令
日本郵便の契約社員三人が、正社員と同じ仕事をしているのに、手当や休暇などの労働条件に格差があるのは違法だとして、約千五百万円の支払いなどを求めた訴訟の判決で、東京地裁(春名茂裁判長)は十四日、一部の手当の不支給を違法と認め、約九十二万円を支払うよう命じた。正社員と同じ待遇を求めた地位確認の請求は棄却した。
日本郵便の全従業員の約半数にあたる十九万人が非正規労働者。同社は待遇改善を迫られるほか、政府が導入に向けて進めている「同一労働同一賃金」の議論にも影響を与えそうだ。
2017.9.15東京新聞
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最近は、「働き方改革」など我々サラリーマンの働き方を見直そうという動きが強まっている。「同一賃金同一労働」も同様で、特にこれは派遣社員の地位向上を図ろうという大きな動きの中の一環だろうと言える。一見、理にかなっているように思えるが、何となくしっくりこないというのが正直な感想である。
判決の中で違法と認められたのは「年末年始手当」「住居手当」「夏期冬期休暇」「病気休暇」を与えていないことだという。ニュースでわかるのは概要だけなので詳しくはわからないが、「病気休暇」以外は問題ないような気がしてならない。訴えた人は、「年末年始に正社員だけが手当を受けているのが許せなかった」と語っているが、これも考え方だと思う。
正社員も契約社員もそれぞれ雇用契約というものがある。正社員には各種手当がついた契約、そして契約社員にはそれがついていない契約。それぞれが提示を受けた上で納得して契約しているわけである。もちろん、内容の変更交渉など余程優秀で請われて雇われる立場でもない限り無理だろう。黙ってサインするしかない。だが、拒否権はある。嫌なら働かなければいいのである。
「同一労働同一賃金」と簡単に言うが、人間の能力は同じではない。例えば年賀状を配達するにしても、ある人は1時間に1,000世帯配達でき、ある人は800世帯だとすると、それは「同一」としていいのだろうか。こういう労働はまだわかりやすいが、「営業」「企画」などは単純に比較できない。こういう職務に派遣はあまり雇われないのかもしれないが、正規社員間での比較はある。まぁそれは「賞与」や「昇進」でカバーされるのかもしれない。
「住居手当」や「夏期冬期休暇」がないのも、「そういう契約」だと言ってしまえばそれまでのような気がする。もともと「派遣」は短期間を想定してのものだろう。一時的な労働者に必要だろうかとも思う。もっとも雇用期間が結果的に長くなるのであれば、そこは調整が必要だろう。企業も「嫌なら辞めろ」の理論で、休暇も与えず10年20年と雇うのは行き過ぎだと思うから、あくまでも「短期が前提」の話ではある。一方、「病気休暇」は短期であっても必要だろうと思う。これは不可抗力の面もあるし、人道的にも認められないのはおかしいと思う。
こうした判決の背景にあるのは、政府が進める「働き方改革」だと思う。しかし、これもこれでいいのかと思うところはある。企業も経済が停滞する中でコスト削減を強いられ、政府だって無駄な税金を減らせという圧力で、民間に委託を増やしたりしている。その先々の現場で増えているのは、「コストの安い」派遣社員である。その派遣社員の待遇を改善することは「コストを増やす」ことに他ならない。コストが増えれば、またどこかで問題が生じるだろう。
東京新聞では、記事を「政府や国会、企業は今回の判決も踏まえ、より不公平感のない働き方の実現に向け、改革を推し進めるべきだ」と結んでいるが、それもどうだろうかと思わなくもない。「全員同じ(正社員)は無理」と判断して「派遣」が生まれてきたわけなのに、それを同じにしようとするのには無理がある。無理を通そうとすれば、元々の目的(コスト削減)ができないか、あるいは外国人労働が増えるなどして「派遣にすらなれない」という結果にならないとも限らない。「平等という名の不平等」という言葉が脳裏に浮かぶ。
ニュースもただ表面的に論じるのではなく、もっと深いところまで切り込んで欲しいと思うことしばしば。政府もマスコミも問題のモグラ叩きをするのではなく、本質を議論すべきではないかと思えてならないのである・・・
【本日の読書】
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