2017年4月12日水曜日

GDPと生産性の話について思う

先日、『デービッド・アトキンソン新・所得倍増論 潜在能力を活かせない「日本病」の正体と処方箋』という本を読んだ。この本で衝撃的だったのは、「日本が経済大国と言われるのは人口が多いから」という事実だ。日本は中国に抜かれたとはいえ、現在でもGDP世界第3位の経済大国である。しかし、「GDP=人口×1人当たり生産性」であり、この「1人当たり生産性」では日本は世界ランキングでは27位になるという。それが3位に躍り出るのは、「人口が多い」からに他ならない。

 言われてみれば実に当たり前である。中国に抜かれた時も、「中国は人口が多いから、一人当たりでは日本は中国より上」という論調があったが、何のことはない日本の3位すらそれと同じだったわけである。この本の主張は、「日本人はもっと生産性を高めなければならない」というもので、それはちきりんさんも同じようなことを主張していて(『自分の時間を取り戻そう-ゆとりも成功も手に入れられるたった1つの考え方-』)、それはそれでその通りなのだろうと思う。

ちなみに、1人当たりGDPのランキングは下記の通りである。
順位
国名
順位
国名
順位
国名
1
カタール
10
アメリカ
19
アイスランド
2
ルクセンブルク
11
アイルランド
20
デンマーク
3
シンガポール
12
サウジアラビア
21
カナダ
4
ブルネイ
13
バーレーン
22
オマーン
5
クウェート
14
オランダ
23
ベルギー
6
ノルウェー
15
スウェーデン
24
フランス
7
アラブ首長国連邦
16
オーストラリア
25
イギリス
8
サンマリノ
17
オーストリア
26
フィンランド
9
スイス
18
ドイツ
27
日本
香港
台湾
28
韓国

 さて、日本以上にGDPの多い国はどこなのだろうと興味を持って眺めてみると、いささか違和感を感じる。パッと目につくのがカタール、ブルネイ、クウェート、アラブ首長国連邦などの「資源国」。確かに国として収入は多いのだろうが、湧き出ている石油や天然ガスを売っているだけで日本より生産性が高いと言われてもピンとこない。観光収入に頼るサンマリノもどうかと思う。気持ち的には8つくらいは順位を上げたいところである。ただ、それ以外のところは、素直に認めないといけないかもしれない。

 ところで「生産性」とは何ぞやと考えてみると、それはすなわち生み出している価値であり、例えば個人で言えば給与などの収入、企業で言えば売上高といったところのようである。となると、生産性を高めるには給与を増やせば良いということになる。だが、給与が高ければいいかと言うと、一方で支出(生活コスト)ということも考えねばなるまい。事実、各国の生活費を見れば(各国の”生活費”を一目瞭然にした世界地図。【果たして日本は!?】)、スイス、ノルウェー、アイスランド、デンマークなどヨーロッパの国が高位にランクされ、日本はトップ15に入っていない。

 また、『世界給与ランキング』なるものもあって、ちょっとデータは古いものの、これによると東京の平均給与は世界8位にランクされている。ここからすると日本の生産性の低さは、「地方が足を引っ張っている」と言えなくもない。しかし、そもそもであるが、為替の影響もあるし各国の事情もそれぞれ違うだろうから、1つの指標をもって単純に比較することには無理があるように思う。だから問題がないと言うつもりはないが、結論は難しい。

 生産性を高めなければならないという意見を否定するつもりはない。世界ランキングがどうとかではなく、やはり少しでも給料を上げられる様努力するのがサラリーマンの本分であると思うし、そのためにも会社の利益向上に努めなければならない。かつて務めていた大企業であれば私個人の頑張りなどたかが知れていたが、今努めている中小企業では己の働きが即会社の業績に直結する。やりがいと共に緊張感もある。今月からまた新しい期に入り、前期以上に増収増益といきたいところである。

 あまり難しいことを素人があれこれ考えてみても始まらない。己自身は地に足をつけて、目の前の仕事に取り組むほかない。そう考えて、改めて頑張りたいと思うのである・・・





【本日の読書】
 
    

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