そろそろシーズンも終わりかけのプロ野球では、先日西武の西口投手が引退登板をしたのを始め、中日の50歳山本昌投手も引退を表明、そのほかにも40代の選手が何人も引退予定である。そんなニュースに触れると、かつてプロレスラーだった馳浩衆議院議員が、「スーポーツマンに引退はない」と語っていたことを思い出す。この頃、とくにその言葉の意味を実感することが多い。
考えてみれば、プロ野球を始めとして、毎年多くの選手が引退を表明するが、それは「現役」の引退だ。もちろん、現役を引退し、そのままスポーツと縁を切ってしまう人も多いだろうが、元ロッテの村田兆治投手のように引退後もトレーニングを続け、マスターズリーグなどで活躍している人もいる。現役を引退しても、スポーツマンとしては引退していないわけである。
そういう自分も、先週末は母校の大学ラグビー部のOBが組織しているシニアチームの練習に参加してきた。かつては、「タックルができなくなったらラグビーはやるべきではない」との信条をもっていたが、体を動かすという意味で練習をするのならいいのではないかと考えを変えている。タックルはしないものの、ボールを使った練習で汗をかく心地良さがあり、それなりに楽しめるのである。
やってみれば、これがなかなかの快感。この頃はジョギングもかなり一般的になってきており、それはそれで悪いとは思わないが、個人的に「ただ走っている」のは面白くも何ともない。それに比べ、ボールを持って走り、パスをし、パスした相手をフォローしてまたパスをもらったりという動きがあった方がはるかに面白い。パント(要はキックだ)を上げ、パントを取り、ディフェンスを抜く。
こうした一連の動きは、現役学生のようなスピードはないかもしれないが、適度に息切れし、汗をかき、練習後には心地良い疲労感に包まれる。一度体を動かす楽しさを味わうと、その感覚はいつまでも残るようで、現役学生からすると運動とは呼べないようなレベルの運動でも十分快感を得られる。残念なのは、グラウンドが遠い(片道1時間だ)のと、活動が月に1回というところだ。できれば、週1回くらいあると、体ももう少し軽やかになる気がする。
人間である以上、年を取れば体力は衰える。しかし、トレーニングを続ければ体力はある程度維持できる。先述の村田兆治投手は、60歳を超えてもなお130キロを超えるボールを投げられたというから、まぁそこまで極端ではなくても、ある程度はできるだろう。自分も3ヶ月くらいみっちり鍛え直したら、現役の学生と試合をできるところまで体力を戻せると思う(もちろん2軍相手だ)。ただ、いかんせん仕事を辞めるわけにはいかないし、空いた時間を使って、となると現実的ではない。
よく、「定年後には好きなことをしたい」という人がいるが、スポーツは定年後にできるものが限られてくるという欠点がある。ゴルフやテニスならともかく、ラグビーはまず無理だ。頭の中では、今でも日本代表のように動けるが、現実の己ははるかに意識に遅れを取っている。昔のように激しいアタックをしたら、たちまち整形外科医のお世話になるだろう。
ただ、そういう現実の己の姿をしっかり認識し、自分のレベルに合わせてなら、十分にできる。楕円のボールを持っての練習は、まだ体に残っている懐かしい感覚を蘇らせてもくれる。これはこれで、ずっと続けていきたいと思う。「スポーツマンに引退はない」というのは、真実だと思う。考えてみれば、それを肯定するのも否定するのも自分次第だろう。
それが真実だと、身をもって証明し続けていきたいと強く思うのである・・・
【本日の読書】
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