梅雨が明けて以来、東京も連日の猛暑である。ちょっと外に出れば、汗が吹き出し、この時期愛用のタオルハンカチも瞬く間に汗で湿っぽくなる。ただ、そんな状況ではありながら、いつもそれを楽しむようにしている。どうせあと少しすると暑さの勢いは緩むし、やがて秋の気配が漂うのだ。ならば、今の時期を楽しみたいと素直に思うのである。
社会人になって、銀行に入ったが、以来お盆のこの時期はいつも働いていた。この時期は年配のおじさんたちが、故郷に帰るために休みを取りたがっていたから、交代で休みを取る銀行にあっては、そんな必要もない若手はこの時期をずらして夏休みを取っていたのである。お盆に休みを取りたい人からすると、ありがたい存在だったのではないかと自負している。
お盆に夏休みを取らないことは、私からすればメリットばかりであった。この時期、遊びに行こうとすれば、渋滞や混雑は覚悟しないといけないし、さらに加えて料金も高い。逆に働こうとすれば、取引先は休みが多く外出の必要もないから、エアコンの下で事務仕事が捗る。朝のラッシュも緩和されて、下手をすると座れてしまったりする。こんな時期に休んでいるのは、「もったいない」と思っていたものである。
しかし、銀行を退職し、この時期会社全体が夏休みを取る中小企業に転職してしまったから、今年は様相が違う。何せ会社が休みだから、夏休みを取らざるをえない。横並びが大っ嫌いな性分としては、この時期に夏休みなんてと思うが、仕方がない。実に社会人になって初めての経験である。
と言っても、受験生を抱えている我が家はどこかへ遊びに行くという計画もなく、いつもの週末が連続しているような感じである。猛烈な日差しの中、玄関を開けると黒い顔の子供が走っていく。よく見ると、隣に住む息子の同級生だったが、2~3週間顔をみないうちに日焼けして凄いことになっている。
子供にとっては、毎日楽しくて仕方ないだろう。自分の小学校、中学校の頃を振り返ってみても、暑くて辛かったなんて記憶はない。学校のプールに通ったり、御代田に遊びに行っては、従兄と日が暮れるまで遊びまわっていた。当然、汗もダラダラかいていたと思うが、汗なんか拭けばいいし、のどが乾けば冷たいものを飲めばいいしと、楽しい日々を過ごしていたと思う。大人になっても、そういう気持ちでいようと思い、暑い毎日も楽しむようにしている。
考えてみれば、寒い冬に飲むビールから比べたら、この時期に飲むビールのうまいこと。アイスだって、この時期だからおいしく食べられる。四季のある国に誇りを持つならば、この暑い夏もその一つである。暑さの中にあっても、夕方になればわずかな涼しさを感じることができる。一雨くれば、なおさら風が心地よく感じられる。清少納言が感じたのと同じ気分ではないかと思える。
コンクリートの上であっても、そんな心地良さも味わおうと思えばできる。つくづく、今この瞬間を楽しみたいと思うのである・・・
【本日の読書】
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