2015年5月27日水曜日

成功の鍵

   妻が通販で健康器具を購入した。
「倒れるだけで腹筋」というキャッチコピーで、ユーモラスなCMを展開しているアレである。実は、妻は以前別の商品を買っているのだが、どうやらまた「新たな決意」を固めたようである。

 妻がこれを購入した意図はダイエットだろう。もちろん、前回の商品「レッグマジック」はダイエットとともに「美脚」という謳い文句に惹かれたのだろうし、今回はそろそろ夏も近いので、お腹を引っ込めてビキニでも着ようと考えているのかもしれない。二兎を追うモノはというつもりはないが、たぶん今回も「見果てぬ夢」で終わるだろう。

 世の中にダイエット商品は腐るほどあるし、次から次へと新しい商品が登場する。こんなにたくさんあるからには、さぞかしスマートな人が多そうであるが、世の中からダイエットのニーズがなくなることはなさそうである。それはなぜかと言うと、世の中が豊かであるという環境要因と、ダイエットのKFSKey Factors for Success=成功の鍵)は何かということに気付いていない(買わせる方からしたら気付かせない)ことによるからである。

 ダイエットの(美客でもスリムなお腹でも同じだが)KFSは何かと言えば、それはたった一つ、『意思』だ。これ以外にはあり得ない。決意し、決めたことを守る意思の力。これこそが、ダイエット(いやあらゆる事かもしれない)のKFSだ。

 と言うと、「そんなのわかっているが、それが難しいから苦労している」との答えが結構返ってくる。だが、それがそもそもおかしい。意思がなければ何があっても意味がない(そしてこれこそが、巷にダイエット商品が反乱している理由である)。意思に代わるものなどないのに、代わるものを求めるから失敗する。逆に意思さえあれば、「道は通じる」のである。

 例えば私は平日は毎日仕事から家に帰ると、夕食前に腕立て伏せと腹筋とスクワットを軽くこなすことにしている。「面倒だ」と思う時もあるが、無理やりにでも気持ちを奮い立たせてやっている。そのための器具など不要だ。もっとも、負荷をかけたくて、「プッシュアップバー」という器具を使っている。だが、器具を使っているのは、「より大きな負荷をかける」ためであって、「腕立て伏せをするため」ではない。ここがポイントだ。

 「これがあったら続けられそう」
そういう幻想を起こさせて商品を買わせるというのが、販売側の手口。と言っても業者が悪いわけではない。本来大事なことを無視して買う方が悪いのである。意思無き主に買われた商品は、程なくして飽きられ、やがて飾りと化す。なんという資源の無駄だろう。

 ただ、我が家に限れば、無駄な資源となる可能性は低い。なぜなら、今回の商品「ワンダーコア」には負荷を調整する機能があるようだからである。「より大きな負荷」を求める者にとって、これは頼もしいパートナーだ。当面は、妻も私が使うことを許さないだろう(自分がお金を出したモノを、お金を出してない人間が自分以上に有効活用することを許さないのが我が妻である)。だが、やがて主に飽きられたら、その時こそ「救世主登場」だ。虎視眈眈とその時を待とうと思うのである・・・


【本日の読書】
田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」 タルマーリー発、新しい働き方と暮らし (講談社+アルファ文庫 G 302-1) - 渡邉 格 ペテロの葬列 下 (文春文庫 み 17-11) - 宮部 みゆき




 
 
 

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